上写真=丸山大和がまたも決勝で決めて、大舞台での強さを見せた(写真◎小山真司)
■2022年1月10日 全国高校サッカー選手権決勝(@東京・国立)
大津 0-4 青森山田
得点者:(大)なし
(青)丸山大和、名須川真光、松木玖生、渡邊星来
「みんながスペースを空けてくれて」
3年ぶりの選手権優勝は、丸山大和のヘッドが導いた。37分、藤森颯太の左からのCKにニアに走り込んで、得意のヘッドで突き刺す一撃必殺。チャンスはありながら攻めあぐねていた嫌な流れを、一瞬にして消し去った。
序盤から押し込んで、これが実に9本目のCKだった。準決勝で決めた2点のうち最初のゴールのようにファーサイドに回ることが多かったが、この場面はニアで勝負した。
「ずっと同じことやっていても読まれるので、キッカーとコミュニケーションを取りながら、自分がどこに入れば取れるかを要求しました。試合前からトリックプレーは決めていて、失敗していたんですけど、ノーマルに決めようと思ったので、颯太にニアを要求して走り込んで取れました」
夏のインターハイ決勝では米子東(鳥取)に先制されながら、自らのヘッド2発で逆転で優勝をもぎ取っている。
「セットプレーは自分がターゲットとしてやって来たので、責任を感じながら、自信を持って臨みました。みんなが自分のためにスペースを空けてくれて、藤森もいいボールを蹴ってくれた結果、ゴールにつながったと思います」
大舞台での抜群の強さは、仲間への感謝の気持ちが源になっている。
センターバックとしては、決勝という舞台で、同じプレミアリーグに所属する大津を相手に、シュートを1本も打たせないで完勝したことが勲章だろう。
「相手もプレミアにいて全国レベルで、攻められる時間もあると覚悟していたし、失点するかもしれないという不安もありました。でも、気持ちの面で負けない、勝つ気持ちが強いほうが勝つと思ってやりました」
これまでの2年はこの決勝の舞台で敗れていた。丸山自身はスタンドから応援していたが、センターバックでコンビを組んだ三輪椋平は1年前の山梨学院(山梨)との決勝で終了間際に交代で出場し、しかしPKを失敗している。
「椋平は去年、PKを外してから、ずっと近くで見てきましたけど、あのときのシーン、感情を抱えながらやって来たのを感じていました。相方なので自分も責任を感じて、自分のためにも椋平のためにも、お互いに助け合いながらやってきて、日本一を取れてよかった」
そしてもちろん、チームのすべての人のためでもある。
「3冠という目標は奇跡というか、めったにない、成し遂げられないことだと思うんですけど、1試合1試合、どれだけ100パーセント、120パーセントの力を出して勝ちきれるかを大事にしてきました。その1試合1試合を乗り越えた結果、決勝に来て最後に戦おうという形になったと思います」
どれだけ強くても、目の前の試合に全力を尽くす。まさしく青森山田らしさ全開で、ついに3冠を達成してみせた。