中国地区の高校新人戦上位校で争われる中国高校新人大会は、3月14日に決勝が行なわれた。1月の高校選手権でベスト4に進出した高川学園高が、後半終了間際の決勝点で米子北高に競り勝ち、3連覇を成し遂げている。

上写真=後半アディショナルタイムに高川学園MF井上陸奥(15番)が決勝点! 高川学園が3連覇を達成した(写真◎石倉利英)

後半アディショナルタイムに勝ち越し

 中国5県の新人戦上位16校(広島は4校、他の4県は各3校)によるトーナメント方式で争われた第14回中国高校新人大会(一部の県は新人戦が途中もしくは始まる前に中止となり、昨年の高校選手権予選の結果などで出場校が決定)。14日の決勝は、2019年の第11回、昨年の第13回大会に続く(20年の第12回大会は新型コロナウイルス感染症の影響で中止)3連覇を目指す高川学園高(山口)と、2014年の第6回大会以来、8大会ぶり2回目の優勝を狙う米子北高(鳥取)の対戦となった。

 立ち上がりから狙いとする縦に速い攻めでゴールを目指す米子北に対し、高川学園は要所で個人技を生かしてチャンスを作ったが、ともに得点は奪えず、0-0で前半を終了。しかし後半開始直後の36分(35分ハーフ)、高川学園はMF井上陸奥が右サイドにスルーパス。タイミング良く抜け出したFW梅田彪翔が左スミに蹴り込んで均衡を破った。

 だが米子北も失点後は徐々に圧力を強め、ゴールに迫るシーンを増やすと、52分にゴール前左サイドでFKを獲得。MF野田徹生がニアサイドに蹴ったボールを、FW小橋川海斗がヘッドで合わせて同点とした。

 その後は米子北が逆転を狙って押し気味に進めたものの、高川学園も守備陣が粘り強く守って立ちはだかる。そのまま10分ハーフの延長に突入するかと思われたが、後半アディショナルタイムの70+2分、高川学園FW山本吟侍が前線でうまくボールを収めてスルーパスを送ると、1点目をアシストした井上が抜け出し、ニアサイドに蹴り込んだ。

 結局これが決勝点となり、高川学園が3連覇を達成。1月の高校選手権でベスト4に進出した後、初の公式戦に臨んだ江本孝監督は、コロナ過での開催に尽力した関係各位への感謝を述べるとともに、「粘り強さ、最後の局面での守りは(今大会の)4試合で成長した。選手権でプレーした選手も、していない選手も、あの経験があったから(劣勢の時間帯も)慌てていなかったと思う」と、チーム全体に蓄積された大舞台での経験の大きさを強調していた。

 なお、決勝に先立って行なわれた3位決定戦は、岡山学芸館高と就実高の岡山県勢同士の対戦となった。前半終了間際に岡山学芸館が先制したものの、後半開始直後に就実が同点ゴール。その後は両者譲らず1-1で終了し、規定により両チームとも3位となった。

取材・写真◎石倉利英