10月8日、J2のファジアーノ岡山への加入が内定している明秀学園日立高校(茨城)の谷口璃成の記者会見が開かれ、プロ入りに向けての抱負を語った。同校から卒業後に直接プロ入りを果たす選手は谷口が初めてとなる。

上写真=ファジアーノ岡山への加入が内定した明秀学園日立高校の谷口璃成(写真◎サッカーマガジン)

岡山の鈴木GMも期待。「恵まれた体格があり、足もとの技術も柔らか」

 両手を大きく広げ、ゴール前に立ちはだかる姿は圧倒的だ。高校生では群を抜く194センチの長身を備え、スケール感は抜群。明秀学園日立高校3年のGK谷口璃成は、来シーズンからファジアーノ岡山の一員となる。

「来季からファジアーノ岡山に加入することが決まりました。私のサッカー人生を振り返ると、うまくいったことより、うまくいかなかったことの方が多かった。でも、そういったときに何ができるのか、自分で考え、どういうふうにすれば成長できるのか、自問してきました。その結果として、今があると思っています」

 これまでに全国高校選手権大会ベスト8やインターハイ16強の実績を持つ明秀日立は茨城県を代表する強豪校の一つ。萬場努監督の下で「挑戦」をスローガンに掲げ、サッカー部員は日々精進している。過去にはンドカ・チャールス(城西大学→YS横浜)も輩出したが、高校卒業後に直接Jリーガーとなるのは谷口が同校初となる。

 萬場監督も「彼が素晴らしいのは、こちらがかけた言葉を素直に受け止めて、自分なりに解釈し、プレーに表現していくことができるところ。まだ大人の体にはなりきっていないと思いますが、これから23歳、24歳になったときの彼への期待度に関しては、非常に楽しみなものがあると思っています」と、その将来性に太鼓判を押す。

 香川県の勝賀中学校から越境入学し、茨城県日立市で高校3年間を過ごしている。「下半身の強化にすごく力を入れている。入学時はまだ体もできていなかったけれど、トレーニングの中で少しずつどうすれば体が動くようになっていくかを考え、今はこのサイズがあっても思うようにプレーできるようになった」と明秀日立で自らの能力を磨いてきた。

岡山への加入が内定した明秀日立の谷口璃成(写真◎サッカーマガジン)

 記者会見に出席した岡山の鈴木徳彦GMも「恵まれた体格があり、足もとの柔らかな技術も見て取れます。セービングも十分に力を発揮してもらえるレベル。そういうことに加えて彼の人間味も含め、うちのクラブで一緒にJ1に上がっていくのに力を発揮してもらいたい」とその潜在能力を高く評価する。

「プロの世界に入り、今よりも多くの高い壁が待っていると思います。でも、そういったときに初心を思い出し、そのときにできることを考え、さまざまなことを吸収していきながら成長していける選手になりたい。プロサッカー選手としての目標はプレミアリーグでプレーし、日本代表に入って日本中の人々に元気を与えること。その目標が簡単でないことは分かっています。そのためにも今できることをしっかりとやり、地に足をつけ、成長していきたいです。18年間、近くで見守ってくれた家族、私に携わってくれた指導者の方々、チームメイトに恩返しできるように1日でも早く岡山のピッチに立ち、プレーでこれまでの感謝を伝えていけるような選手になりたいと思います」

 プロサッカー選手になる夢を目指して追いかけたこれまで人生に感謝しながら、Jリーグという未知なる世界で谷口は新たな挑戦に臨む。