神村学園高(鹿児島)で昨年度から正GKとしてプレーする吉山太陽は、中学から地元の島根県を離れ、成長を続けてきた。昨年度の選手権での経験も糧に、最後の大舞台での全国制覇を狙っている。

上写真=2年時から正GKを任されている吉山。最後の選手権に向けて気持ちを高めている(写真◎石倉利英)

小学校卒業後に鹿児島へ

 7月23日に鳥取県内で行なわれた、神村学園高(鹿児島)と高川学園高(山口)の練習試合。神村学園のGK吉山太陽は大きな声を張り上げ、守備陣を引っ張っていた。攻め込んでいるときはペナルティーエリアを大きく飛び出し、最終ラインの背後をケア。終盤にPKで失点して0-1で敗れたものの、正確なパントキックでのフィードなど、随所に持ち味を発揮した。

 中等部から神村学園でプレーしている吉山は島根県出身。高津FCに所属していた小学校時代、地元の益田市で鈴木勝久氏が地元で立ち上げた、GK育成スクールに通っていたのが鹿児島に向かうきっかけとなった。鈴木氏は神村学園のGKコーチを務めており、吉山の情報を聞いた神村学園のスタッフが島根県を訪れ、プレーを視察して勧誘。「最初は不安だった」と吉山は振り返るが、「サッカーのレベルが上がるならチャレンジしたいと思った」という決意を両親も後押しして、小学校卒業後に親元を離れることになった。

 神村学園での生活も6年目を迎えた。中学、高校とも2年時から正GKとなり、「全国大会も経験して、勝負の難しさなどを学んだ」ことがプラスになっているという。サッカー以外では「試合に臨む姿勢、社会に出ても通用する人間になることなどを学べている」と語るように、心身ともに成長を自覚している。

 鈴木氏は吉山の持ち味を「セービング、キャッチングなど基本的な技術のレベルが高い」と評し、172センチと大柄ではない体格をカバーする「プレースピードの速さ」も武器だという。もちろん成長の余地はあり、この日の練習試合でも試合中に鈴木氏が、ベンチから一つひとつの動きに指摘する様子が見られた。「今年は特に戦術的なところ。GKは全体が見えるポジションなので、常に戦術的に優位に立てるポジショニングなどを磨けば、持っている技術を発揮できる機会が増える」との考えで、さらなる成長を促している。

 新型コロナウイルスの影響でインターハイは中止になったが、「練習できるときに、高い質を求めてやってきた」と振り返る。選手権は高校生活、さらには神村学園での6年間の集大成。昨年度の全国大会では、前橋育英高(群馬)と対戦した1回戦は試合中とPK戦の好セーブで勝ち抜きに貢献したが、富山一高(富山)との2回戦は前半の失点で0-1と敗れた。2試合を通じて「1本のミスでやられてしまった。得点できなくても、GKが止めれば勝てる」と実感した思いをぶつけるべく意気込む。

「しっかりシュートを止めて、フィールドプレーヤーに良い流れを持っていけるようにしたい」

 目標は全国制覇。そのために、自らを成長させてくれた神村学園のゴールを守り抜く。

取材・写真◎石倉利英