セレッソ相手に初ゴール

 伊室監督は、Jリーグ初ゴールを決めた相手がセレッソ大阪U-23だったことにも、特別なものを感じている。田口は三重県出身だが、中学時代は地元を離れ、セレッソ大阪西U-15でプレー。しかしU-18への昇格はならず、地元に戻って四中工に入学した。

「メンタル面で油断してしまうところがあるので、何度もBチームに落としました。最後の方は吹っ切れたのか、良いプレーを見せるようになった」(伊室監督)。昨年度は四中工伝統のエースナンバーである17番を託され、選手権では2得点の活躍でベスト8進出に貢献した。

四中工の伊室監督。昨年度は田口らを擁して選手権ベスト8(写真◎中島光明)

 伊室監督の日大時代の1つ先輩が、鳥取の岡野雅行・取締役ゼネラルマネジャーという縁で練習に参加し、鳥取加入が実現した。高校時代と同じ17番を背負い、デビュー戦でセレッソ大阪U-23から初ゴールを決めて「セレッソの評価も変わったかもしれませんね」と伊室監督は語る。

 鳥取の髙木理己監督は「裕也の一番の良さは、ひたむきさ、がむしゃらさ。どちらにこぼれるか分からないボールに対して100パーセント、戦えるところだと思っています」と評価する。「そんなプレーは仲間に勇気を与えるし、チームの活力になります。そういうことを繰り返している選手のところにボールが来て、ゴールを決めたのは、サッカーで大事なことは何かを示してくれた」とも。それを聞いた伊室監督は「プロで生き残るために、必死にやっているんでしょう」と教え子の奮闘に思いを寄せた。

 伊室監督は「調子に乗らなければよいですが、吉野智行強化部長は厳しい方だし、先輩たちにも可愛がられているようなので、頑張ってくれるでしょう」と期待する。恩師の思いを知っていたかのように、田口も「ここで調子に乗っていたら、1ゴールで終わってしまう。切り替えて、次に向けて、もう一度」と、さらなる成長を期していた。四中工から鳥取へ、プロでもエースの座を目指す17番の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE、中島光明、石倉利英