部活動を再開した鳥取県の米子北高校の主将、林莞大は、目の前の練習に懸命に取り組んでいる。インターハイの中止からいち早く気持ちを切り替え、周囲への感謝を胸に、自身とチームの成長を期している。

上写真=学校のグラウンドでボールを蹴る米子北の主将、林(写真◎石倉利英)

「少しでもレベルアップして」

 5月7日から授業と部活動を再開している米子北高校。サッカー部も含めて部活動は平日のみ、2時間までという制限が設けられているものの、これまでは限られた環境での自主練習が続いていたこともあり、選手たちの表情は、広いグラウンドで思い切りボールを蹴る喜びにあふれている。

 今年の主将、林莞大も「全員そろってグラウンドで練習できるのは、うれしいです」と充実感を漂わせる。サンフレッチェ広島ジュニアユース出身で、2年生で出場した昨年度の高校選手権の初戦、青森山田(青森)との2回戦ではボランチで先発。0-6で大敗した悔しさを胸に再出発したチームで、現在は右サイドバックを務めている。

 休校期間中の4月26日、自身最後となるはずだったインターハイの中止が決まったときは、懸命に気持ちを奮い立たせた。「キャプテンの自分がモチベーションを下げてしまったら、チーム全体に影響します。まず自分が切り替えるようにしました」と語り、「全体練習が始まったとき、少しでもレベルアップしてチームに合流できるように」自主練習に励んでいた。

 全体練習の再開後は「グラウンドを使わせてもらっていることに、感謝の気持ちを持ってプレーすること」を意識している。自主練習とは違い、仲間とともにプレーできるので、「みんなが集まって練習できるので、士気が高まっている」という。

鳥取県の県内学校は5月7日に授業を再開。米子北も授業および部活動を再開している(写真◎石倉利英)

 中村真吾監督は「キックの精度が高いので、右サイドバックから良いボールを入れてほしい」と期待を寄せる。堅い守備からの速攻を基本戦術としている米子北のサッカーで、「守備のときは、ブロックを作るのか、前から行くのかを判断する。攻撃では、良いボールを前線に送る。攻撃でも守備でもチームのスイッチを入れて、周りを動かす、ピッチ上の監督のようにプレーすること」も、発揮してほしい要素だ。

 高校選手権に向けて「いまは対外試合ができないので、練習中のミニゲームでも課題を修正できるチームにしたい」と意気込む。「声を出す、体を張る。技術ではなく、みんなを盛り上げることができるプレーで引っ張っていきたい」と語る主将の理想像を体現すべく、公式戦再開の日を心待ちにしている。

文◎石倉利英 写真◎石倉利英