上写真=12月にはFIFAクラブ・ワールドカップを戦った安部。鹿島で活躍する今も、母校と後輩への思いは強い
写真◎Getty Images

 広島県大会で広島皆実に2-1で競り勝ち、念願の全国高校選手権初出場を決めた瀬戸内。そんな母校の快挙を喜ぶJリーガーのOBがいる。鹿島アントラーズのFW安部裕葵だ。プロ2年目の今季、クラブ史上2番目の若さで開幕スタメンに名を連ね、その後もレギュラーに定着。クラブ初のアジア制覇に大きく貢献し、Jリーグ・ベストヤングプレーヤー賞も受賞した。リーグ屈指のアタッカーに成長している安部が、初の全国高校選手権に挑む後輩たちへ、メッセージを口にした。

「犠牲心というものが、一番大事」

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 19歳とは思えないほど、落ち着いた口調で言葉を紡ぐ安部裕葵だが、今冬の全国高校選手権に初出場する母校・瀬戸内のことを聞くと、表情がゆるむ。

「あいつできるのかなぁ、できるタイプじゃないと思うけど(笑)」

 30日の開会式で選手宣誓の大役を担う佐々木達也主将を思う姿は、まさに先輩そのもの。「佐々木とも一緒にやっています」と言うように、安部が3年時に、佐々木は1年生。心配しながらも、たくましく成長した後輩が、晴れ舞台で堂々と選手宣誓を務めることを楽しみにしている。

 そして、チーム全員にも、激励の言葉を送る。

「(広島県大会の)決勝戦も、もちろん見ました。今年度の瀬戸内のメンバーは、一人ひとりの犠牲心が強いように感じます。ベンチも一体となって戦っている姿を見て、強さが伝わってきました。鹿島アントラーズは特にそうですけれど、瀬戸内の選手たちもチームにすべてを捧げる姿勢が見られます。(勝利のためには)本当に犠牲心というものが一番大事だと思うので、(全国高校選手権では)チームのためにみんな、最後まで走り続けてほしいです。

 初出場だけれど、僕は優勝もできると思っています。僕らの代は、インターハイで初めて全国大会を経験したけれど、そのときにも『本当に優勝できるんじゃないか』と思って、戦っていました。『自分たちは自信をもって、どんな相手とでもやれる』『どんなに苦しんでも、最後に勝てればいい』ということを理解すれば、優勝も見えてくると思う。だから、どんな相手でも、どんなときでも、勝つことに集中してほしい。その執着心が強ければ強いほど、勝利につながっていくと思うので、後輩たちには優勝を目指して頑張ってほしいですね」

 先輩・安部の期待通り、初出場・初優勝の快挙達成はなるだろうか。瀬戸内は1月2日の2回戦(西が丘・第1試合)で長野県代表の都市大塩尻と初戦を迎える。

取材◎小林康幸