上写真=市立船橋の最終ラインを支える岸本
写真◎サッカーマガジン

憧れはイチフナOBの左利きDF

 身長は181センチ。センターバックとしては飛び抜けて大きいというわけではないが、打点の高いヘディングや対人の強さを随所に見せ、市立船橋の最終ラインを支えている。「(高円宮杯プレミアリーグEASTの)前半戦が終わって改善が必要だと自覚していた」というビルドアップ時のボールの配給については、「縦パスや、味方と連係して崩すということは練習から意図してやっている」と語るように、日々磨きをかけている。

 背番号は、憧れの先輩もつけていた5番。「目標としているのは杉岡(大暉=湘南)さん。小学校時代は自分と同じレジスタFC(埼玉県)でやっていて、人間性だったり、サッカーに対する姿勢だったり、もちろんプレーもですけれど、すべてにおいて、ずば抜けている。アジア大会(8月~9月にインドネシアで開催。U-21日本代表は準優勝)の試合も見ていましたよ」と、目を輝かせる。

 そんな杉岡と同じく、岸本も市立船橋の選手として世代別代表に名を連ねた。8月のSBSカップに臨むU−18日本代表メンバーに初選出され、初戦のU−18オーストラリア代表戦(○1−0)で、いきなり先発フル出場。センターバックとして、完封勝利に貢献した。

 だが、自身のプレーには満足できていない。「空中戦などで、自分の良さも少しは出せたけれど、消極的なプレーやミスが多かった。(改善に努めている)ビルドアップでの縦パスなどもあまり出せなかった」と、反省しきり。「実際に先輩の杉岡さんや原(輝綺=新潟)さんは、代表に呼ばれたときにしっかりアピールできていた、という話を聞いていた。(朝岡隆蔵)監督もミーティングで『ポンッと代表に入って活躍できる選手が上に行ける』と言っていて、自分もそういう思いを強く持って挑んだけれど、何もできなかった」と、自身の未熟さを痛感した。

 それでも“初代表”が苦い記憶だけで終わったわけでは決してない。名古屋のDF菅原由勢を筆頭に、Jの舞台を経験していたり、来季のプロ入りが決まっている選手から、「一人ひとりが“絶対に負けない”という武器を持っていたし、人一倍に体のケアをしたり、食事の面なども意識していた。そういうところは自分も見習っていかなければいけない」と多くの学びを得た。

 また、「いろいろな話を聞いていた中で、やっぱり自分もプロになりたいな、という思いが強く芽生えた」と、その目は数々の先輩たちが活躍するJの舞台を見据えている。そのためには、高円宮杯プレミアリーグでのさらなる活躍が必要だ。

「(プロになるためには)このままじゃダメだし、もっともっと結果を出していかないと。一つひとつ、自分たちが成長していくためにチャレンジし続けたい」

 日本代表戦士、そしてJリーガーへ。高みを目指す岸本の挑戦は、始まったばかりだ。

取材◎小林康幸

岸本駿朔[市立船橋 3年/DF #5]
きしもと・しゅんさく/2000年6月14日生まれ、鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身。持ち前の跳躍力を武器に空中戦で強さを発揮するセンターバック。181cm、75kg