プロ、アマチュアを問わず日本サッカー協会(JFA)の第1種登録チームすべてに門戸が開かれている伝統のカップ戦、天皇杯 JFA 第105回全日本サッカー選手権大会が5月24日に開幕した。25日に島根県出雲市の県立浜山公園陸上競技場で行なわれた1回戦では、島根県代表のベルガロッソいわみ(中国サッカーリーグ)と福岡県代表のギラヴァンツ北九州(J3)が対戦。北九州がJ3最少失点の堅守で前半の先制点を守り、1-0で完封勝利を収めた

上写真=前半の途中から1点差で推移した一戦。北九州の守備は最後まで崩れず、2回戦進出を決めた(写真◎石倉利英)

■2025年5月25日 天皇杯1回戦(@浜山公園陸上競技場:観衆679人)
ギラヴァンツ北九州 1-0 ベルガロッソいわみ
 得点:(北)吉長真優

2回戦では岡山と対戦

 立ち上がりは、地元でクラブ史上初のJクラブとの公式戦を戦うベルガロッソいわみが意欲的に攻め込んだものの、先制したのは北九州。19分、右サイドでパスを受けたMF吉長真優がドリブルで内側に運んでから右足を振り抜き、逆サイドに決めてリードを奪った。

 ベルガロッソいわみは、20分に左からのセンタリングをFW原田列志が左足で合わせようとするも、ジャストミートせず。北九州も27分にCKを渡邉颯太がヘッドで合わせたシュートが、ベルガロッソいわみGK吉永縁心に防がれるなど、なかなか追加点を奪えない。

 後半に入って57分、北九州はMF樺山諒乃介がドリブル突破からGKと1対1の決定機を迎えたが、右足シュートは右ポストに当たって決まらず。61分にはMF坪郷来紀が左サイドのゴールライン際を突破し、中央にフリーの味方がいる状況から右足で狙ったが、大きく上に外れた。

 1点差のまま迎えた後半アディショナルタイム、ベルガロッソいわみは懸命の反撃でCKのチャンスも得たが、こぼれ球を右足ボレーで狙ったMF水津颯太のシュートは北九州の守備陣がブロック。明治安田J3リーグ第13節終了時点でリーグ最少の7失点という堅守は最後まで崩れず、1点を守り抜いた。

 北九州は6月11日の2回戦で、J1のファジアーノ岡山と対戦。3月20日のJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド1回戦では、ホームで戦った北九州が1-0で勝利を収めている。増本浩平監督は、2回戦の会場は岡山のホーム・JFE晴れの国スタジアムで、前後に中2日でリーグ戦がある自分たちに対し、岡山は日本代表の活動でリーグ戦が中断期間中、といった状況の違いを挙げながらも「何か、かみつける要素を見つけていきたい」と語り、ジャイアントキリングの再現に意欲を見せていた。

取材・写真◎石倉利英