ヴェルスパ大分MF薮内健人が2得点を挙げる活躍で、J3のガイナーレ鳥取を下すジャイアントキリングの立役者となった。攻撃の中心として多くのチャンスに絡み、前半の追加点と後半の3点目で見事に結果を残している。

上写真=薮内は2得点の活躍で昨年に続くジャイアントキリングに貢献した(写真◎石倉利英)

■2022年5月22日 天皇杯1回戦(@Axis:観衆434人)
鳥取 0-4 V大分
得点者:(V)利根瑠偉、薮内健人2、藤本拓臣

2回戦は鳥栖と対戦

 5月22日の天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会1回戦で、J3のガイナーレ鳥取と対戦したJFLのヴェルスパ大分は、31分に先制すると、42分に薮内が2点目を奪う。右サイドに走り込んでMF山﨑一帆からのパスを受けると、右足で左スミに蹴り込んだ。
 
 少し前に同じようなポジションでパスを受けたが、味方へのパスを選択しており、「周りから『打ってよかったよ』と声を掛けてもらって、自分でも打てばよかったと思っていた」と振り返る。二度目のチャンスを確実に決め、「うまく入ってよかった」と喜んだ。

 66分には自身2点目。ゴール前でMF土田直輝にパスが通ろうかというとき、「土田選手が完全にフリーだったので、シュートを打つかなと思った」という。しかし「呼びながら走ったら出してくれた」というダイレクトパスをもらい、「あとはトラップして決めるだけ」のゴールで3-0とリードを広げた。

 その後も1点を追加したV大分は鳥取のホーム、Axisバードスタジアムで4-0の完勝。攻守ともに充実の内容だったが、薮内は「僕たちは、1点取れたから2点取りにいこう、3点取りにいこう、というチームではない。(失点を)ゼロに抑えることができたのは、僕たちらしかったと思う」と語り、無失点勝利に大きな価値を見いだしていた。

 V大分は昨年の大会で、1回戦でJ2のレノファ山口FC、2回戦でJ2のモンテディオ山形を下し、3回戦も勝ってラウンド16まで勝ち上がっている。その経験について問われると「よく(山橋貴史)監督が言っているのですが、試合が始まる前から結果は決まっていない。昨年はJのチームを2つ倒せたのですが、監督が日頃から言っていることが、今日の試合に生きたと思う」とコメント。「ミスを恐れず、結果を恐れず、しっかり自分の100パーセントを出そうと監督が言っている。去年の経験というよりも、今年も天皇杯で一つひとつ勝っていこうと思っていた」と心境を明かした。

 今年もジャイアントキリングで1回戦を突破し、6月1日の2回戦ではJ1のサガン鳥栖と対戦する。「格上、格下は関係なく、僕たちは自分たちのサッカーをするだけ」と力強く語ったナンバー10は、「もちろん相手の分析もしながら、僕たちのスタイルを崩さず、パスを回して、前から(ボールを)取りにいって、という試合になると思う。J1相手にどこまでできるか楽しみです」と意気込んでいた。

現地取材・写真◎石倉利英