天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会が5月21日に開幕し、22日の1回戦でJ3のガイナーレ鳥取とJFLのヴェルスパ大分が対戦。昨年の大会で二度のジャイアントキリングを達成しているV大分が、今年もJクラブを下して2回戦に駒を進めた。

上写真=またもジャイアントキリングを達成したV大分のメンバーが、鳥取まで駆けつけたファン・サポーターをバックに記念撮影!(写真◎石倉利英)

■2022年5月22日 天皇杯1回戦(@Axis:観衆434人)
鳥取 0-4 V大分
得点:(V)利根瑠偉、薮内健人2、藤本拓臣

・鳥取メンバー◎GK田尻健、DF丸山壮大(57分:妹尾直哉)、鈴木順也、長井響、魚里直哉、MF石川大地、文仁柱(38分:田口裕也)、世瀬啓人、新井泰貴(75分:知久航介)、田村亮介(57分:小澤秀充)、FW大久保優(57分:澤上竜二)

・V大分メンバー◎GK姫野昂志、DF西埜植颯斗(68分:中野匠)、中村勇太(86分:西川公章)、浦島貴大、本多琢人、MF山﨑一帆、篠原宏仁、土田直輝、薮内健人(75分:小倉貫太)、利根瑠偉(68分:藤本拓臣)、FW中村真人(75分:前田央樹)

攻守ともにJクラブを圧倒

 公式記録で気温25・8度、湿度45パーセントという蒸し暑さの中で13時に始まった一戦は、前半半ばまでは一進一退の攻防が続いたものの、少しずつV大分がボール支配率を高めていく。31分にはMF山﨑の右からのセンタリングを、ファーサイドで受けたMF利根が蹴り込んで均衡を破った。

 最終ラインからのビルドアップを狙うV大分に対し、鳥取は37分にV大分GK姫野のパスをゴール前でカットし、エリア内のMF文仁柱につないだが、左足シュートはミートせずに枠を外れ、絶好の同点機を逃す。ピンチをしのいだV大分は42分、エリア内右サイドのスペースに走り込んでパスを受けたMF薮内が、強烈な右足シュートを左スミに突き刺し、リードを2点に広げて前半を終えた。

 後半、鳥取にも流れを引き寄せられそうな場面が二度あった。51分、中央を崩して左サイドに展開し、FW田口がGKと1対1となったものの、シュートはGK姫野に防がれる。65分にもFW澤上が左サイドから狙ったが、またも姫野にブロックされた。

 すると前半同様、ピンチの後にV大分が得点を奪う。66分、エリア付近でパスを散らしながら鳥取の守備網の穴を見つけると、エリア内でMF土田のパスを受けたMF薮内が、この日2点目を蹴り込んでリードを広げた。

 3点差として68分に2人を交代で送り込んだV大分は、そのうちの一人、MF藤本拓臣が70分にダメ押しの4点目。鳥取の攻撃をはね返してカウンターに転じると、左サイドをドリブルで攻め上がり、内側に切れ込んで右足シュートを突き刺した。

 V大分はその後、何とか1点でも返したい鳥取の攻めを力強くはね返し、そのまま完封勝利。この日の会場は鳥取のホーム、Axisバードスタジアムで、敵地で攻守ともにJクラブを圧倒し、2回戦に駒を進めた。

 V大分は昨年度の天皇杯でも、1回戦でJ2のレノファ山口FCを1-1からのPK戦で撃破。2回戦ではJ2のモンテディオ山形を2-1で破り、二度のジャイアントキリングを達成すると、3回戦も突破してJクラブ以外では唯一、ラウンド16まで勝ち上がった。ここでも当時J2のジュビロ磐田と延長まで競り合い、0-1で敗れたものの、確かな足跡を残している。

 今年も初戦でジャイアントキリングを達成し、山橋貴史監督は試合後の会見で「相手がJ3でカテゴリーが上なので、我々はチャレンジする側なんだということを選手たちに伝え、緊張し過ぎず、思い切ってチャレンジしていこうとピッチに送り出した。選手たちには非常に良いゲームだったと伝えた」とコメント。再び敵地でJ1のサガン鳥栖と対戦する6月1日の2回戦に向けて「鳥栖は攻守にアグレッシブで、我々と似たような積極的なプレーが多いチーム。我々の力がどこまで通用するのか、本気で戦ってみたい」と意気込んでいた。

現地取材・写真◎石倉利英