今こそ歴史を創る時
マリノスのキャプテンを務める喜田拓也は「彼らは別のチームになってくると思っています」と、アウェイでの決戦に向けてアル・アインへの警戒心を強めていた。試合開始時から1点ビハインドを追いかけるホームチームは、これまで以上になりふり構わずゴールを目指してくるはずだ。
それでもチームのメンタルリーダーでもあるトリコロールの背番号8は動じない。
「普段と環境や状況が違う中で、思い通りにいかないことの方が多いと思うので、しっかりと準備をして、心してかかりたい。何が起きても想定内でいけるような準備は常にしているので、堂々と乗り込みたいと思っています」
クレスポ監督は今回のACL決勝第2戦を「極めて重要で歴史的な試合」と位置付けているが、それはマリノスも同じ。アジアのタイトルを賭けた一戦は、クラブの歴史上最も重要な試合と言ってもいい。
今大会の出場時間がチーム内で最も長い松原健は、5月19日に行われたJ1第15節のFC東京戦後に「あと一歩のところまで来ているので、その一歩がより今後への大きな一歩になるように団結してやるだけ」と語り、UAEへと飛び立った。
出場停止処分により第1戦をスタンドから見守ることになった上島拓巳は「あの雰囲気の中でピッチに立てない悔しさを持っていました」と述べ、出場可能になった第2戦での名誉挽回を誓った。
「逆に言えば優勝を決める、すごく重要な試合でピッチに立てる可能性があるというところは自分の中でポジティブに捉えています。今は自分の状態が一番いいと思うので、責任と覚悟を持ってUAEに行きたいと思います」
マリノスが1点リードした状態で始まるACL決勝第2戦は、どちらが次の1点を奪うかが極めて重要な試合になる。そして、最後はアジアの頂点に対してより強い気持ちをプレーで表現できた方のチームがトロフィーを掲げることになるだろう。
今こそ、新たな歴史を創る時。最大限の準備をして、後悔のない試合にしてもらいたい。クラブの歴史を知り、マリノスに全てを捧げてきた喜田の覚悟がタイトルという形で報われることを心から願っている。
「周りから見たら苦しい状況だと捉えられるかもしれないですけど、そんな流れをウジウジ気にして乗り込むような場所ではないし、そういう次元の話ではない。強い気持ちを持って、覚悟を持って乗り込むだけです。
相手も環境も大きく変わるので、そこは心してかかりたい。(Jリーグとは)また別物の側面もあるので、下を向いていくつもりは全くないし、タイトルを獲り切る強い気持ちを持って、最後はどんな手を使ってでも獲るという執念を見せたいと思います」
取材・文◎舩木渉