日本時間25日(土)の深夜、横浜F・マリノスが敵地でアル・アイン(UAE)とAFCチャンピオンズリーグ決勝第2戦に臨む(25時開始)。ホームで行われた第1戦を逆転でモノにし、有利な立場で第2戦を迎えるが、相手は直前のリーグ戦で主力を温存するなど決勝へ調整を進めている。アル・アインの状況を踏まえ、運命の決勝第2戦を展望する。

上写真=横浜F・マリノスの喜田拓也キャプテン。

アル・アインは直前のリーグ戦で主力温存

 いよいよ決戦が近づいてきた。横浜F・マリノスは5月25日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝の第2戦でアル・アインと対戦する。

 11日に行われた横浜での第1戦はマリノスが2-1で逆転勝利を飾った。アウェイでの第2戦には1点のリードを手に乗り込めるが、チーム状態が絶好調とは言い難い。ACL決勝の第1戦と第2戦の間に組まれていたJリーグの2試合で1分1敗と苦しみ、新たな負傷離脱者を出してしまった。

 では、ACL決勝の相手であるアル・アインはUAEに戻ってから、どのようなスケジュールをこなし、どんな形でマリノスとの大一番に向けて準備を進めてきたのだろうか。

 エルナン・クレスポ監督は潔かった。アル・アインもマリノスと同様にACL決勝第2戦までの約2週間で国内リーグを2試合こなしているが、指揮官はそこで「出場機会の少なかった選手にチャンスを与える」という姿勢を貫き、横浜国際総合競技場でのACL決勝第1戦に先発出場した選手の大半に休息を与えた。

 ACL決勝からのリーグ戦、リーグ戦という過密日程で全ての試合に先発出場したのは若手のマリ人MFアブドゥルカリム・トラオレのみ。クレスポ監督はACL決勝に向けた配慮に欠ける国内大会のスケジューリングに対してしきりに不満を漏らし、「主力級の選手たちには休息が必要」と強調していた。

 5月20日のUAEプロリーグ第24節、アル・ワフダ戦を前にした記者会見では「(ダービーマッチなので)次の試合が非常に重要なものだと十分に理解してはいるが、選手たちが怪我などから回復し、試合の準備をするための時間が足りていない」と述べ、ACL決勝第2戦をより重視する考えを明確にしていた。

「我々はACL決勝第2戦に集中している。もちろん国内リーグのことも尊重しているが、試合の準備をするための十分な時間的余裕がないのが現状だ。特に国内リーグでの成績は、我々がACLで素晴らしい成果を残してきたことによる影響を多分に受けている。アル・アインはACLで素晴らしい戦いをしているが、国内の大会が調整した日程は我々を助けてくれなかった。これまでも話してきた通り、我々は3日に一度のペースで試合をしているので、チームとしての準備を十分に整えられておらず、それに伴って国内の大会における我々の結果や成果は低下してしまっている」

 5月16日のUAEプロリーグ第23節イティハド・カルバ戦、同20日の第24節アル・ワフダ戦はアルゼンチン人指揮官の宣言通りに若手や控え組中心の編成で臨んだ。前者は0-1の敗戦、後者は2-0での勝利に終わっている。

 ここまででお分かりの通り、ACL決勝第2戦を展望するにあたってアル・アインの直近2試合の内容や結果は全く参考にならない。第1戦で猛威を振るったソフィアン・ラヒミや中盤の防波堤となったパク・ヨンウら重要な役割を担う選手たちはこの2週間で一度も公式戦のピッチに立つことなく、十分な休息とともにマリノスとの決戦に向けた準備を続けている。

 とはいえトピックがなかったわけではない。16日のイティハド・カルバ戦では、日本遠征に帯同しながらメンバー外になっていたブラジル人DFエリキが実戦復帰を果たし、続く20日のリーグ戦にも先発出場した。アル・ワフダ戦でハーフタイムにベンチへ下がったことから考えるに、25日のACL決勝第2戦でプレータイムをさらに伸ばすことを見据えているのだろう。

 また、トーゴ代表FWコジョ・ラバもアル・ワフダ戦で復帰。負傷離脱していたエースストライカーは先発出場して63分までプレーした。万全とは言えない状態に見えたが、どうやらACL決勝第2戦に照準を合わせて調整してきたようで、試合後のインタビューでは「僕たちはACL決勝に向けて長い時間をかけて準備してきたし、これからは25日の決勝に向けてより集中して準備を進めることができる」と自信たっぷりだった。

 マリ国籍のアブドゥルカリム・トラオレが国内リーグで長時間プレーしたことも踏まえると、エリキやコジョ・ラバが外国籍枠を使ってACL決勝第2戦でメンバー入りしてくる可能性が高そうだ。彼らは選手層に不安をのぞかせた決勝第1戦の課題を一気に解決しうるキーマンになるかもしれない。