横浜F・マリノスが初めて挑むAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の準々決勝は3月13日、第2戦を迎え、ホームで山東泰山(中国)と対戦した。第1戦に2-1で勝った横浜FMは、後半開始早々に退場者が出て苦しい戦いになったが、エースのアンデルソン・ロペスが値千金のゴールを挙げて1-0で勝利、連勝してクラブ初のベスト4へ進出した。

上写真=第1戦に続いてまたもアンデルソン・ロペスが決めた!(写真◎Getty Images)

■2024年3月13日 AFCチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦(@横浜国際)
横浜FM 1-0 山東泰山(中国)
※横浜FMが2勝で準決勝進出
得点:(横)アンデルソン・ロペス

「ここで立ち止まるのではなく」

 アウェーの第1戦を2-1で終えた横浜F・マリノスは、引き分け以上でベスト4進出が決まる。だが、1点を守り切るという消極的な発想がないことはキックオフから見せた姿勢で明らかだった。とにかく、もう1点を目指して攻めた。

 山東泰山も1点がほしいから、フェルナンジーニョやカザイシュビリ、クリサンといった外国籍選手の個人技を全面に押し出して横浜FMを脅かす。

 横浜FMにとっては、攻撃の要の一人、ヤン・マテウスが負傷で交代したのは誤算だった。43分に宮市亮が代わって入り左ウイングへ、エウベルが左から右に回って攻撃を立て直すことになった。

 だが、さらなる誤算がトリコロールのクラブを襲う。44分、そして後半開始早々の47分に永戸勝也が連続で警告を受けて、2度のイエローカードで退場処分になったのだ。

 ハリー・キューエル監督は早々に手を打った。53分にエウベルと植中朝日の攻撃陣に代えて、渡邊泰基を左サイドバックに送り込み、山根陸も入れて喜田拓也と渡辺皓太とともに中盤を構成、前線のアンデルソン・ロペスと宮市亮でカウンターを狙って、10人となった選手のバランスを整えた。

 そして、値千金の一発がついに生まれた。75分、右深くを取った宮市が2人に寄せられながらその間を通すマイナスのパス、サポートした山根がゴール左に浮き球のパスを送ると、アンデルソン・ロペスがテクニカルなダイレクトボレーで突き刺して、先制に成功した。

「カウンターでいい連係を取ってボールが(山根)陸に渡り、陸も冷静にクロスを出してくれて、うまく合わせることができた」

 アンデルソン・ロペスも納得の一発だった。

 さらには83分、宮市を倒した山東泰山のガオ・ジュンイーが決定的な得点機会阻止で一発退場。これで10人対10人となって、あとは時計の針を進めるだけで良かった。

 こうして横浜FMは1-0で逃げ切りに成功して2勝とし、クラブ史上初めてこの大会でベスト4に進出。東地区の代表を決める準決勝では、4月17日にアウェーで、24日にホームで韓国の蔚山現代と対戦する。

 アンデルソン・ロペスも「ここで立ち止まるのではなく、まだ(準決勝で)2試合あります。全員で戦っていきたい」、宮市も「アジアの1位になるチャンスがあるので、もうこれは本当に取りにいかないと」と静かに燃えている。