AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ第5節で11月29日、J組の浦和レッズは武漢三鎮(中国)をホームに迎えた。前節で首位の可能性が消えた浦和は、決勝トーナメント進出へ向けて東地区で2位のうち上位3チームに入るべく、残り2試合の連勝は必須の条件。1-1から土壇場でホセ・カンテが決めて2-1で勝利をもぎ取り、最終節へ望みをつないだ。

上写真=ホセ・カンテが左足で決めて劇的勝利!(写真◎Getty Images)

■2023年11月29日 ACLグループステージ第5節(@埼玉スタジアム)
浦和レッズ 2-1 武漢三鎮(中国)
得点:(浦)アレクサンダー・ショルツ、ホセ・カンテ
   (武)ダヴィドソン

「この勝利は自信になる」と岩尾憲

 アウェーでの対戦では2-2と点の取り合いになったが、この日も3つのゴールが生まれた。

 先制したのは浦和だ。33分に右からの荻原拓也のクロスに飛び込んだブライアン・リンセンが空中で競り合うと、DFの腕が顔付近に入ってファウルの判定。これで得たPKをアレクサンダー・ショルツが落ち着いて左に蹴って、GKの手の先に突き刺して、37分に先制に成功する。

 浦和の誤算は前半の終盤に見舞われた立て続けの負傷交代だろう。大畑歩夢が座り込んでしまい、43分に関根貴大に交代。その直後には髙橋利樹が相手と激しく接触して顔面を強打、そのままタンカで運ばれて、45+2分に大久保智明がピッチに入っている。

 後半に入って浦和がセカンドボールを続けざまに拾ってリズムをつくると、繰り返しチャンスを作った。しかし、フィニッシュに至らず、あるいは精度を欠いて2点目が奪えない。すると68分、武漢のダヴィドソンにテクニックを見せられて、ショルツ、マリウス・ホイブラーテンがかわされてゴール左に流し込まれ、同点に追いつかれた。

 この直後に浦和は3人を交代、アレックス・シャルク、エカニット・パンヤ、そして今季限りで引退を表明しているホセ・カンテを送り込んだ。残り20分とアディショナルタイムでギアを上げ、関根が、カンテが、大久保がビッグチャンスをつかんだ。しかし、ゴールネットは揺らせない。

 だが、ドロー濃厚と思われた90分、埼玉スタジアムは歓喜に包まれた。ショルツが最終ラインから持ち上がった判断が効いて相手を惑わすと、そこからシャルク、大久保とつないだ。大久保の浮き球のパスに対応したDFのクリアが短くなったところをカンテが拾うと、左足を一閃、ゴール右に流し込んで、土壇場でまたも突き放した。これで2-1の勝利!

「興奮しています」とはそのカンテ。「私にとって埼玉スタジアムでのラストゲームで、チームにとって大きな勝利で、個人的にもうれしい勝利でした」と笑顔満開だった。

 劇的勝利で勝ち点を7まで伸ばした。公式戦4連敗中だっただけに、「この勝利は自信になる」と岩尾憲。最終戦は12月6日、ハノイFC(ベトナム)とのアウェーゲームだ。ここで勝ち点3を手にして、他会場の結果を待つ。「まだまだ可能性がある限り一生懸命戦いたい」と西川周作は全員の思いを代弁した。