1月28日、FC東京対セレス・ネグロスのACLプレーオフの試合後、日本サッカー協会の田嶋幸三会長が、ACLの日本勢に対する期待とともに、感染拡大が懸念される新型コロナウイルスの影響と今後の試合開催の見通しについて語った。

上写真=1月28日の上海上港対ブリーラム・UのACLプレーオフは無観客で開催した(写真◎Getty Images)

日程面も考えなければならない

 FC東京がセレス・ネグロスを下し、AFCチャンピオンズリーグの本戦出場を決めた試合後、観戦した田嶋会長は取材陣の質問に答え、率直な思いを語った。「難しいコンディションの中でよく勝った」とFC東京の勝利を称えながら、鹿島敗戦の報に触れて、悔しさをにじませた。

「やはり一発勝負は怖いなと思って、今日の試合を見ていました。(他会場の)鹿島は負けたということで、まだ試合内容を見ていないので何とも言えませんが、優勝経験のあるチームですから、ぜひ残って、日本から4チームが(本選に)出てほしいというのはあったんですけども…(鹿島は)年末年始も試合もありましたし、勝ってほしかったですが、残念な結果になりました。あらためて試合内容を見てみたいと思います」

 日程面の難しさがあったことは否めないが、鹿島がJリーグ勢としては初めてプレーオフで敗れることになった。この結果、日本から横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸、そしてFC東京が本戦に進むことになった。

 そして、この3チームはいずれも中国のクラブと同組となっている。現在、中国では新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な状況だ。さらなる拡大や国外で新型肺炎の発症例が毎日のように報告されている中、横浜FMは上海上港、神戸は広州恒大、FC東京は上海申花と対戦する。日程をあらためて記せば、横浜FMがアウェーで上海上港と対戦するのは、3月4日。神戸が広州恒大と敵地で戦うのが4月8日で、FC東京が上海申花戦に臨むのは4月7日となっている。

「1月28日の上海(上港)の試合(対ブリーラム・ユナイテッドのプレーオフ)も無観客試合になりましたし、次のラウンドの方も開催地を中国から移すなど、考えていますけども、ウイルスの広がりを見ると、そんなに簡単に解決するとも思えない。一方で、ACLの日程もすべてをずらせるわけではないし、場所をずらせばそれで解決するかと言えば、そうではないですし。これは今後に大きく影響してくるものなので、しっかりと情報を集めた上で対応しないといけないと思っています。Jリーグももうすぐ始まりますし、ワールドカップのアジア2次予選も始まる。これ以上、広がらないようにと願っていますが、どうなるか分からないので、日程面も考えなければいけないと思っています。
 すでにメール等で関係者とやりとりしながら話し合っていますが、開催地を変えたり、無観客試合にするだとか、粛々とやらなければいけない。(新型ウイルスの)広がり具合によっては、もっと違う対応をしなければいけないかもしれない。それは日本の試合も含めての話です。試合を少しキャンセルすることも、あり得るかもしれません。最も大切なのは、人々の健康と安全ですから、それは最優先に考えるべきことだと思います」

 交差感染を避けるために、中国国内では人の集まるスポーツイベントが軒並み、延期・中止となっている。ACLも影響は避けられず、実際、田嶋会長の言う通りに28日の上海上港対ブリーラムは無観客試合になった。2月11日に開幕するACL本戦でも、2月中にある中国勢のホームゲームを延期し、アウェーゲームと日程を入れ替える案など、様々な検討がなされている模様だ。

 AFCの正式発表が待たれる。

■AFCチャンピオンズリーグ2020組分け(東地区)
◎グループE
北京国安(中国)
チェンライ・U(タイ)
メルボルン・ビクトリー(オーストラリア)
FCソウル(韓国)

◎グループF
蔚山現代(韓国)
上海申花(中国)
パースグローリー(オーストラリア)
FC東京(日本)

◎グループG
ヴィッセル神戸(日本)
水原三星(韓国)
広州恒大(中国)
ジョホール(マレーシア)

◎グループH
シドニーFC(オーストラリア)
横浜F・マリノス(日本)
全北現代(韓国)
上海上港(中国)