AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のラウンド16第2戦が25日に行なわれた。広島と鹿島が激突した日本勢対決は、ゴールの応酬の末に鹿島が勝ち抜き。昨季に続くアジア連覇に向け、ベスト8進出を決めた。

上写真=開始直後の緊急出場となった関川(左)。ベスト8を懸けた激闘を充実の時間だったと振り返った(写真◎Getty Images)

■2019年6月25日 AFCチャンピオンズリーグ・ラウンド16第2戦
 広島 3-2 鹿島
 得点者:(広)パトリック2、佐々木翔
     (鹿)土居聖真2
  ※2試合合計3-3、アウェーゴールの差で鹿島がベスト8に進出

「もっと練習する必要がある」

 鹿島が第1戦を1-0で制して迎えた広島ホームの第2戦は、波乱のスタートとなった。開始直後の広島のCKからのプレーが終わったところで、鹿島DFチョン・スンヒョンがゴール前で倒れ込み、そのままプレー続行不可能に。わずか4分で関川郁万が投入されることになった。

 流通経済大柏高(千葉)から今季加入した関川は、ここまでJ1リーグでは出番なし。ACLはグループステージ第4節、ホームでの慶南FC(韓国)戦に先発フル出場しているが、それ以来の公式戦2試合目が、思わぬスクランブル出場となった。

 それでも「試合前にアップをやっていたので、すんなり(試合に)入れた」と本人が振り返る通り、犬飼智也とのコンビでCBに入ると落ち着いたプレーを見せた。そうするうちにチームは33分、MF土居聖真が貴重なアウェーゴールを奪う。2試合合計スコアは0-2となり、3失点しなければ勝ち抜きという優位な状況となった。

 ところが後半、攻めるしかない広島が攻撃への意識をいっそう強めると、防戦一方に。66分にFWパトリック、72分にはDF佐々木翔に決められ、逆転されかねない状況となった。74分に広島GK中林洋次が退場となり、数的優位になってからも劣勢は続く。81分には直前の反則で認められなかったが、パトリックに3点目を決められたかと思われた場面もあった。相手の圧力をまともに受ける形になったが、関川は「やっていて楽しかった。自分のストロングポイントが出せる相手だったので」という。とはいえ「そこで負けたので、通用しなければいけないし、もっと練習する必要がある」と反省点も口にした。
 
 試合はその後、89分に土居が決めて2-2とした後、90+5分にパトリックにPKを決められ、再び2試合合計でタイスコアに。直後に試合終了となって事なきを得たが、この試合は敗戦に終わり、DFにとっては複雑な結果となった。

 それでも公式戦2試合目について、関川は「1試合目も緊張はしなかったけど、(今回)ほぼ90分プレーして、スッと(試合に)入れたのはよかったと思う」と語り、「3失点したのは自分のせいですが、試合に入れて、試合を通して自分の良さを出して、周りの声も聞いて、自分から発信できたのは、(慶南FCと対戦した)4月に比べて自分がちょっとできるようになった部分かな、と思う」と手応えも。課題を見出しながら最低限の結果を手にして、安堵したような表情も見せていた。

取材◎石倉利英 写真◎Getty Images