広島が1試合を残してグループステージ(GS)突破、しかも首位での突破を決めた。広州恒大(中国)をホームに迎えた第5節、日本代表DF佐々木翔の決勝点で1-0の勝利。今後の過密日程で柔軟な起用法が可能になること、さらに3連敗中のJ1での巻き返しを見据えても、価値ある勝利となった。

上写真=決勝ゴールを決めた佐々木(右)。広島はホームでの完封勝利でグループ首位が決まった(写真◎J.LEAGUE)

■2019年5月8日 AFCチャンピオンズリーグ・GS第5節
 広島 1-0 広州恒大
 得点者:(広)佐々木翔

「僕のゴールです!」

 広島の決勝点は15分。MF森島司のニアサイドへの左CKに、走り込んだ佐々木が右足を伸ばすと、後方に抜けたボールが相手DFに当たってコースが変わり、ネットを揺らした。スタジアムでは当初、佐々木の得点とアナウンスされたが、その後にAFC(アジアサッカー連盟)と広島のクラブ公式ツイッターはオウンゴール(OG)と発表。だが、そのまま1-0で試合が終了した後、最終的に公式記録では佐々木の得点と発表された(得点経過も、森島のCKから佐々木が右足でシュート、と発表)。

 取材エリアに姿を見せた佐々木は、実際に触っていたのか? との報道陣の質問に「もう公式記録は出ていて、僕のゴールなんですよね? じゃあ僕のゴールです」と笑い、最初はOGと発表されていたが、との問いには「それ以上は聞かないでください」と、これも笑顔で意味深な? 答え。それでも「良いつなぎから良いチャンスを作って、CKまで持っていけた。ボールを動かしながら相手の嫌なことをできていたと思う」と、得点までの流れの良さについて振り返った。

 アウェーでの広州恒大との第1節は敗れたが、その後の4連勝でGS首位を決めたことで、メルボルン・ビクトリー(オーストラリア)とアウェーで対戦する5月22日のGS最終節は『消化試合』となる。この試合は当初、4日後の26日にJ1第13節・浦和とのアウェーゲームが控えているため、メンバー選考やコンディショニングが難しくなることが予想されていた。それが首位決定により、メンバーを完全に入れ替えて、J1リーグに万全の状態で臨むと同時に、出場機会の少ない選手に実戦経験を積ませる起用法が可能となったのは大きい。

 7節まで無敗で首位に立っていたJ1では、8節の初黒星から前節まで3連敗を喫し、7位まで順位を下げている。佐々木は「1つ勝つのはチームにとって大きな材料になる。ただ(公式戦の)連敗は止めたかもしれないけど、次のJリーグで勝たないと。今日の勝ちを無駄にしないためにも、しっかりと次節で結果を出すという考えに、全員がなっていると思う」と語り、12日の次節・アウェーでの仙台戦に向けて気持ちを新たにしていた。

取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE