上写真=中盤の底で相手の攻撃の芽を摘んだ三竿
写真◎近藤俊哉

2点目の起点となった、三竿の“機転”

 鹿島のかじ取り役は、自身初のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝の舞台でも冷静だった。「みんなで声かけ合って、落ち着いてできた。慌てないことを意識していた」と、三竿健斗は第1戦の90分間を振り返る。

 その中で、勝利へのキーワードとなったのが、三竿が発した「想定内」という言葉だろう。

 前日会見では大岩剛監督が「(ペルセポリスの)ウィークポイントをつかんでいる」と話していたが、実際にプレーした三竿は「アンカーの横が空くのは分かっていたので、そこを使うことをみんなで意識した。直線的なパスだとどうしても狙われやすいので、一度サイドに振ってから縦へ、というイメージはありました」と、ペルセポリスの堅守を攻略するための策を語る。

 また、相手の鋭い攻撃への守備も、満足のいく出来となった。

「ロングボールが多くなるのは分かっていたので、しっかり競ることと、僕はそのセカンドボールを予測して拾う。(相手のフィジカルが)強いのは分かっていたし、1回の当たりじゃ倒れないのも分かっていたので、ファウルをしないでなるべく奪おうと意識していた。それがうまく出た試合だったのかなと思う」

 78分にはセルジーニョの貴重な追加点をアシストした。「ああいうとき、ヘディングはあまり遠くへ飛ばないもの。そこをうまく予測して、セカンドボールを拾えたと思う」と、この場面でも三竿の機転が利いた。

 ただ、2-0で先勝したものの、“ファイナル”はまだ半分を終えただけ。

「立ち上がりがとても大事だし、そこで失点してしまうと、スタジアムの雰囲気も相まって苦しい試合になる。できるだけ早く先制点を取って、自分たちが有利にプレーできればと思う」

 テヘランでの第2戦に向け、背番号20は勝って兜の緒を締める。

取材◎小林康幸