皇后杯 JFA 第47回全日本女子サッカー選手権大会の決勝が1月1日に東京・国立競技場(MUFGスタジアム)で行なわれ、INAC神戸レオネッサとサンフレッチェ広島レジーナが対戦。14年ぶりとなる元日の国立競技場でのファイナルは、広島が前半に先制、I神戸が後半に追いついて接戦が続いたが、後半終了間際に勝ち越した広島が劇的な勝利で初優勝を果たした。

上写真=ゲームキャプテンの小川愛が高々と皇后杯を掲げ、サンフレッチェ広島レジーナの喜びが爆発! 2026年最初の覇者となった(写真◎森田将義)

■2026年1月1日 皇后杯決勝第(@国立:観衆16,527人)
広島 2-1 I神戸
 得点:(広)李誠雅、中嶋淑乃
    (神)久保田真生

「今日の優勝は間違いなく、サポーターの皆さんのおかげ」

 両チームは今季すでにWEリーグとWEリーグクラシエカップで対戦しており、2試合とも広島が勝利。I神戸は宮本ともみ監督が「相手として嫌だなという印象がすごくあって、選手たちも少し構えてしまう、受け身になってしまうと感じていました」と明かしたように、広島に苦手意識を持っていたという。
 
 そうしたメンタル面の影響や決勝のプレッシャーもあってか、序盤はI神戸らしさを発揮できない。広島は「前線からの守備は自分たちの強みなので、INACさん相手にも曲げることなく前線から守備をして、良い形で奪ってからの攻撃がしたかった」との赤井秀一監督の狙いどおり、序盤からFW上野真実を頂点とした3トップがプレスを徹底。I神戸は「皇后杯決勝という舞台のプレッシャーも感じていたと思いますし、同じようなプレッシャーでも、普段以上に圧力を感じていたように見えた」(宮本監督)状況での苦しい戦いが続いた
 
 広島はボールを奪うと素早く左前方につなぎ、FW中嶋淑乃の突破力を引き出すと、2分にはDF藤生菜摘が自陣から前方に展開。左サイドの高い位置を取った中嶋がゴール前に速いボールを入れたが、中央の選手には合わなかった。25分には左から仕掛けた中嶋がクロス、上野がヘディングシュートを放つが枠を捉えることができない。
 
 広島は守備でも、I神戸MF成宮唯のドリブルや左サイドのFW久保田真生の仕掛けを、DF市瀬千里と嶋田華のCBコンビを中心に体を張って阻止。「前半20分ぐらいまでは少し弱気だった」と赤井監督が振り返る中盤での守備も、前半の半ば頃からスイッチが入り、主導権を握れるようになった。
 
 すると31分、広島が試合を動かす。左サイドから攻め込み、エリア内の高い位置に入り込んでMF渡邊真衣からのパスを呼び込んだMF小川愛が、速いボールをゴール前へ。中央に飛び込んできたFW李誠雅がダイレクトで左足を合わせて蹴り込み、先制に成功した。
 
 後半も立ち上がりから広島が仕掛け、47分に左サイドでスローインを受けた中嶋がゴール前にパスを送ると、走り込んだ上野が飛び出してきたI神戸GK大熊茜との接触で倒され、PKを獲得。上野が自らキッカーを務めたが、キッカーから見て右へのキックはGK大熊にセーブされて追加点を奪えない。
 
 ピンチを逃れたI神戸だったが、PKとなったプレーで主将のDF三宅史織が負傷交代を余儀なくされた。「前半は自分たちを信じられないような自信のなさが気になっていた。後半しっかりスイッチを入れることができたかな、というところでのアクシデントだった」。宮本監督は明かしたが、代わって入ったDFヴィアン・サンプソンが落ち着いてプレーし、前から奪いに来る広島の背後を狙う攻撃が増え始める。

 58分にはDF桑原藍の左クロスからFW水野蕗奈がヘディングシュートを放つなど、サイドから見せ場を作るようになると、66分に左サイドでFKを獲得。ゴール前で競り合ったこぼれ球に反応した成宮が右サイドからシュート性のクロス、FW久保田真生が合わせて同点とした。
 
 そこから一進一退の攻防が続き、延長も視野に入り始めた試合終盤、輝きを放ったのは広島の中嶋だった。「取られてもいいから仕掛けろと日々伝えていた」と語った赤井監督の狙いを体現し、左サイドでボールを持ったら果敢に縦突破にチャレンジ。何度もクロスを上げるだけでなく、90分には上野が放ったシュートのこぼれ球からシュートを放つなど得点への強い意欲も見せていた。

 それが実ったのが後半アディショナルタイムの90+1分だった。I神戸のゴールキックをはね返したボールを左サイドの高い位置で受けた上野がつなぎ、中嶋がカットイン。思い切り良く振り抜いた右足シュートがGK大熊の手をはじいてゴール右上に突き刺さり、2-1の勝利を決める決勝点を奪った。
 
 元日の国立競技場という条件にもかかわらず、広島のファン・サポーターが数多く会場まで足を運び、試合を通して声援を送り続けた。「広島から数多くの方々に来ていただいて、選手を後押ししていただいて感謝しています。今日の優勝は間違いなく、サポーターの皆さんのおかげだと思います」。赤井監督が万感の表情で語った言葉どおり、選手、スタッフだけでなく、広島に携わる多くの人たちに力によってつかみ取った初の栄冠だった。

取材・写真◎森田将義