第43回サッカーマガジンカップ オープン大会2025(主催・運営:株式会社毎日コムネット、後援:株式会社ベースボール・マガジン社)は9月12日に大会最終日を迎えた。今大会ではピックアップマッチのMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)を紹介する。日本一を懸けた決勝で、PKを止められた落胆を直後に歓喜へと変えたのは、早稲田大学HUMAN FC Aの1年生MF横井葵。角度のないところから右足で蹴り込み、優勝につながる勝ち越しゴールを奪った。

上写真=延長前半5分、2-1とする勝ち越し点を決めた横井(45番)は笑顔で応援団が待つバックスタンドへと走った(写真◎石倉利英)

「思い切り振ったら入りました」

 近年は大学の準体育会・同好会・サークルの日本一を決める大会と位置付けられ、代々の選手・女子マネジャーに『マガ杯』『マガジン杯』の愛称で親しまれているサッカーマガジンカップ。どちらが勝っても初優勝の決勝、同志社大学三ツ葉キッカーズAと対戦したHUMAN FC Aは、1-1で迎えた10分ハーフの延長前半5分にPKを獲得したものの、FW市原涼太郎のキックが相手GKにセーブされてしまう。
 
 その直後だった。キックに合わせてエリア内に走り込んでいた横井が、セーブのこぼれ球を右サイドで拾い、角度のないところから右足シュート。クロスバーの下に当たったボールがネットを揺らし、2-1と勝ち越した。

「ゴールの位置は把握していたので、ゴールは見ていませんでしたが、思い切り(右足を)振ったら入りました」と振り返る。セーブされることに備えていた献身性が実を結び、「自分のチームは、備えている選手があまりいなくて。そういうところも準備しておこうという心意気から生まれたゴールだったと思う」と胸を張った。

 15分(30分ハーフ)に横井のアシストから市原が決めて先制したHUMAN FC Aは、後半に今大会初失点。1-1とされた後もピンチがあり、苦しい流れで延長に突入していた。

 それでも「先輩たちが良いプレーをしたときに声を出したりして、チームを盛り上げようと頑張っていた」という1年生MFの得点で勝ち越すと、延長前半8分にも加点。3-1で勝って初優勝を果たし、「HUMANが一度も優勝したことがないのは知っていたので、すごいことをしたんだな、という感じ」と喜んだ。
 
 表彰式では優勝チームの副賞の一つ『ZIPでトビタテ!毎コム賞』として、約25人分の成田-ソウル往復航空券に相当する50万ZIPAIRポイントが、今大会の特別協賛社であるZIPAIR Tokyoから贈られた。「みんなで旅行に行ってみたい」と喜んだ菅平のヒーローは、「2連覇、3連覇できるように頑張りたい」と来年以降も見据えていた。

取材◎石倉利英 写真◎高野徹