上写真=I神戸は63分、成宮が待望の先制点を決めてベンチの宮本新監督に駆け寄る。その後に1点を追加して開幕白星スタートを切った(写真◎WE LEAGUE)
■2025年8月10日 WEリーグ第1節(@神戸ユニバー:観衆2.453人)
I神戸 2-0 東京NB
得点:(神)成宮唯、吉田莉胡
どちらも新監督が就任
昨季は最終節を終えて勝ち点52で並び、得失点差で上回った東京NBが優勝、I神戸は2位でフィニッシュ。「優勝を逃した相手だったので、みんなモチベーション高く入った」とI神戸MF成宮唯は語ったが、序盤は前から圧力をかけてきた東京NBに飲まれる展開となった。
東京NBは2分にパスによる崩しから新加入のFWダネル・ダンが決定機的なシュートを放ったが、I神戸GK大熊茜が好セーブ。15分にもI神戸守備陣のミスを突いてMF山本柚月がゴールを狙ったが、再び大熊のパンチングに阻まれ、得点には至らない。
「入りはすごく硬くて、いつもどおりのプレーからは程遠かった」(宮本ともみ監督)I神戸も、時間の経過とともに持ち味を発揮する。しかし24分にMF桑原藍のロングフィードから相手DFの背後に抜け出したFW吉田莉胡の左足シュート、33分にDF水野蕗奈の左クロスをFW愛川陽菜が頭で合わせたシュートが、ともに枠を捉えない。42分にも成宮のパスからDF井手ひなたがゴール前に飛び出して決定機を迎えたが、井手、さらに詰めていた吉田のシュートが東京NBのGK野田になの連続セーブに阻まれた。
均衡を崩せなかったI神戸だったが、前半だけで7本のシュートを放つなどチャンスは十分。試合を進めていく中で東京NBのスキを感じていたという。宮本監督は「後ろは最低3枚でやっていましたけど、3枚の感覚が狭い感じで立っていたので、サイドに大きなスペースがあった。前半も何回かそこを突けて、攻撃に結びつけるところがあったので、(ハーフタイムに)もう1回良いシーンを映像で見せながら、突いていこうと話した」と明かした。
後半もスコアが動かなかったが、63分にI神戸が待望の先制点を奪う。大熊が自陣から左前方にロングボールを送り、受けた愛川がファーストタッチでうまく縦に抜け出すと、折り返したボールを成宮が右足ダイレクトで合わせ、ネットを揺らした。
「相手にもチャンスあったので、どちらが先に仕留めるかで試合が左右されると思っていたので、先手で取れてよかったです。ふかさないようにコースをしっかり狙って、枠に入れようと思っていた」
そう振り返る成宮の一撃で勢いに乗ったI神戸は、88分にも右サイドを突破したFW久保田真生の低いクロスを、吉田が右足で合わせて追加点。そのまま2-0でタイムアップを迎えた。
「みんなが攻守において走力で負けていなかった。監督がずっと掲げている攻撃的な、アグレッシブなサッカーは体現できたと思う。ただ、今日は得点が入りましたが、ちゃんと決めていかないと、昨季みたいに得失点差で泣くシーズンになる。決定力の部分はもっとやっていかなければいけない」。そう話すのは成宮で、元なでしこジャパンコーチの宮本新監督の初陣を白星で飾った。
対する東京NBも昨季途中まで浦和レッズレディースの指揮を執った楠瀬直木新監督の初陣。「結果的には残念ではありましたが、内容的にはそんな悲観はしていません。決定力は大きな課題があるのですが、ボールがよく動いて試合ができましたし、交代枠を使って開幕戦の空気を据えた。(昨年11月に左アキレス腱を断裂した)小林里歌子が復帰できたのは、ウチにとって非常に大きなものになりました」と収穫を話す一方、「そうは言っても、シビアに詰めていかなければいけない部分がある。ちょっとしたマークのズレ、パスのタイミングのズレ。本当に常勝軍団になるには、そうしたところを詰めないと」と続けた。
ともに課題と収穫を得た開幕戦。来年5月まで続く長い戦いにおいて、今季も両チームがリーグを盛り上げていくことになりそうだ。
取材◎森田将義 写真◎WE LEAGUE