上写真=慶応理工Aと同志社四ツ葉の準決勝の決勝点のシーン。大学サークル日本一を決めるサッカーマガジンカップはいよいよ大詰めに(写真◎高野徹)
顔ぶれは変わっても変わらない激戦
サッカーマガジンカップ(通称:マガ杯)は1982年に第1回が開催された歴史ある大会で、今年で42回大会を迎えた。近年は大学の準体育会、同好会、サークルの「日本一」を決める大会と位置付けられ、昨年の41回大会では、中央大学サッカー同好会が参加64チームの頂点に立っている。
大会4日目、決勝トーナメントは午前中に準々決勝4試合、午後から準決勝2試合が行なわれた。長丁場の大会で心身ともに疲れがピークを迎える中、午前中の準決勝を勝ち抜いて午後からの準決勝に駒を進めたのは、慶應義塾大学理工学部体育会サッカー部A(慶応理工A)と同志社大学四ツ葉キッカーズ(同志社四ツ葉/同志社三ツ葉キッカーズのOB=4年生チーム)、東北学院大学Libero(東北学院Libero)と中央大学MAPLE A(中央MAPLE A)の4チームだ。いずれの4チームも優勝経験がなく、新たな時代のマガ杯到来を告げる顔ぶれが揃った。
いつもと顔ぶれが変わっても、優勝への熱量が変わるわけではない。翌日のファイナル進出を懸けた2つの準決勝は共に、やはりいつも通り激戦となった。
慶応理工Aと同志社四ツ葉の準決勝は、慶応理工の守備陣が安定感を見せ、同志社四ツ葉にチャンスらしいチャンスを作らせず優勢に試合を運ぶものの、相手の守備も寄せが速く、攻撃の連携がなかなか成就しない。そこで流れを変えたのが個人技だ。佐野大地が右サイドから斜めにドリブルで仕掛け、見事なボールタッチからゴール左隅に左足を振り抜きネットを揺らした。1点取れば、そこは1点差ゲームをものにして勝ち上がってきた慶応理工A。粘りの守備で1点を守り、決勝に駒を進めた。
もう一つの準決勝、東北学院Liberoと中央MAPLE Aも大激戦となった。中央MAPLE Aの代表・岡田佳也が「マガ杯の準決勝、こんな入りをしたらやられるだろうと感じていた」という通り、どこか集中力に欠けた守備からオウンゴールを献上。今大会、初めて先制を許す展開となった。だがそこでスイッチが入る。本来の技術力を活かしたパスワークと、高さや速さを生かした速い攻撃を使い分け東北学院Liberoを押し込む。笛が鳴るまで足を止めないその重圧が成就したのは試合終了間際のラストプレーだった。CKの流れから最後は吉澤侑希(26番)が意地で押し込み同点に。勢いそのままPK戦を3-2で制し、初の決勝進出を決めた。
どちらの一体感が勝るのか
ファイナリストの2チームは共に初優勝をかけた戦いに臨む。
慶応理工Aは1・2年だけで構成された若いチームだ。若さが持つ勢いで決勝まで一気に上り詰めた側面も見逃せないが、代表の星拓希は自身のチームの強みをこう語る。
「3年生がいない分、誰かに引っ張ってもらうチームじゃない。自分たちが話し合って決めたことは最後まで絶対にやり切ろうとみんなで約束している。チームのために最後まで走り切ろうと。走力ではなく総力。先発もサブも、交代で下がった選手も、もちろんマネージャーの応援も。みんながチームのためにできることをやり切る、その総力がウチの強みです」
一方、初の決勝に駒を進めた中央MAPLE Aの代表・岡田佳也も、奇しくも慶応理工Aの星と同じ趣旨のことを話した。
「マガ杯というレベルの高い大会で、準決勝の前半のような気の抜けたプレーをしたら終わり。失点した後、ベンチや周りの応援から『絶対決勝に行くぞ』という熱い声のおかげで、目を覚まさせてもらった。ここまできたら思い残すことはありません。明日の決勝では、ピッチに立つ選手、ベンチ、応援も含め、今できる最大限を発揮するだけです」
決勝は明日、9月10日13時に菅平のシンボルであるアンダーアーマー菅平サニアパークのメイングラウンドで行なわれる。どちらが勝っても初優勝。マガ杯の歴史が変わる。