パリ・オリンピックは8月9日(現地時間)に決勝を迎え、ホスト国のU-23フランスがヨーロッパのライバル、U-23スペインと激突した。40年ぶりのフランスか、32年ぶりのスペインか。延長までもつれ込み、計8ゴールが生まれた熱戦は、スペインに軍配が上がった。

上写真=3-3で迎えた100分、カメージョが冷静にチップキックで決めて突き放した(写真◎Getty Images)

■2024年8月9日 パリ五輪・決勝(@パルク・デ・プランス)
フランス 3-5(延長)スペイン
得点:(フ)エンツォ・ミロー、マグネス・アクリウシェ、ジャン=フィリップ・マテタ
   (ス)フェルミン・ロペス2、アレックス・バエナ、セルヒオ・カメージョ2

フランスも一度は2点を追いついたが…

 合計8つものゴールが生まれる超攻撃的なファイナルで、最後はスペインが笑った。

 フランス対スペインの激突は、いきなりゴールの競演だ。

 最初の歓喜はフランスに訪れた。圧倒的なホームの声援を受けてキックオフから激しく戦う「レ・ブルー」は11分、右から攻めて、相手クリアが短くなったところをエンツォ・ミローが左足で蹴り込むと、GKアルナウ・テナスの手を弾いてゴール左に飛び込んだ。

 だが、これでスペインの目が覚めた。18分、一瞬のスキを見逃さずに右からアレックス・バエナが中央に斜めに差すと、フリーになっていたフェルミン・ロペスがワンタッチで左に流し込んで、「ラ・ロハ」があっという間に同点とした。

 ここからは一気だった。25分にロングパスで左から抜け出したフアン・ミランダが折り返すと、アベル・ルイスがダイレクトシュート、GKギヨーム・レステにブロックされたものの、またもこぼれ球に反応したロペスが蹴り込んで逆転。すると今度は左からカットインしたミランダがファウルを受けてFKを獲得し、これをアレックス・バエナが見事な軌道でゴール左に送り込んで、28分にあっという間に2点のリードを奪った。

 後半はもちろん、追いつこうとするフランスの攻撃で始まった。左サイドバックのアドリアン・トリュフェが再三に渡って攻め上がってクロスを送り込んだものの、スペインの中央は堅い。57分にはこの形から中央でクアディオ・コネがニアに飛び込んでヘッドで狙うが、バーに阻まれた。

 67分には、交代で入っていたマグネス・アクリウシェが右から中央に斜めに送ると、ゴール正面でジャン=フィリップ・マテタがダイレクトで狙うがうまくヒットしない。72分には同じく交代出場のアルノー・カリミュエンドが強引にドリブルで中央を割って短くつないでコネが強烈なシュートを見舞ったが、GKテナスのスーパーセーブに阻まれた。直後には右サイドのゴールラインぎりぎりからミローが狙ったが、枠を外れる。

 だが、攻め続けたこの圧力がついにゴールをこじ開けた。79分、右からのFKをミカエル・オリーズが低くニアへ、アクリウシェがつま先で触ってゴール左へと送り込んで、フランスが1点差に詰め寄った。フランスがなおも攻め続け、スペインは交代策を使って5バックにして守り続けた。

 そして、スペインは逃げ切れず、フランスはついに捕まえた。90分、フランスの左CKのシーンでベニャト・トゥリエンテスがカリミュエンドを倒してしまい、主審のオンフィールドレビューの結果、フランスにPKが与えられた。これをマテタが落ち着いて左に決めて、90+3分、ついにフランスが追いついたのだった。

 このまま延長に入ったが、突き放したのはスペインだった。細かいパスでフランスの守備網を破り、アドリアン・ベルナベの短い縦パスで抜け出したセルヒオ・カメージョが、GKレステが飛び出してくるのをよく見て軽く浮かせてゴールに届け、100分、またしても一歩前に出た。

 このあとはフランスがデジレ・ドゥエのドリブル突破を軸に何度もゴールに迫るが、どうしてもゴールを割れない。すると120+1分、攻め込まれていたスペインがGKテナスのロングスローからのカウンターで一気にひっくり返し、抜け出したカメージョが左足で浮かしてていねいに流し込み、終止符を打った。こうして、スペインが5-3という驚きのスコアで地元のフランスを倒してみせた。

 スペインは自国開催となった1992年バルセロナ・オリンピック以来、32年ぶりの優勝。フル代表はユーロで王者になっており、ひと夏で2つのビッグトーナメントを制してみせた。