FIFA女子ワールドカップの決勝が20日に行われ、スペイン女子代表とイングランド代表が対戦。前半の29分にキャプテンマークを巻くカルモナが先制点を決めたスペインがそのまま押し切り、1−0で勝利。悲願の初優勝を飾った。

上写真=決勝トーナメントに入って以降、毎試合その力を発揮し、ついに頂点に立ったスペイン女子代表(写真◎Getty Images)

最後の最後まで落ちなかった意欲と走力

 決勝にふさわしい好ゲームになった。序盤は巧みなパスワークで積極的にボールを動かすスペインがペースを握り、対するイングランドはプレスがハマらず、後手に回る場面が多くなる。

 29分、先制点もスペインがつかむ。敵陣でボールを奪うと、マリオナがボックス手前でキープし、勢いよく駆け上がってきた左サイドバックのカルモナにパス。カルモナはボックス左から左足を振り抜き、逆サイドのネットにシュートを突き刺した。

 その後もスペインはテンポの良いパス回しと、高い位置でのプレスでイングランドに対して優位に試合を進め、前半を1−0で終える。

 迎えた後半、イングランドは3バックから4バックに変更し、やや盛り返したものの、依然としてスペイン優勢のまま試合は進んでいった。66分にはマリオナがゴール正面からボックス内に進入。対応したイングランドのウォルシュの手がボールに当たり、オン・フィールド・レビューの結果、PKを獲得した。

 だが、ここでイングランドの守護神アープスがその実力を見せる。スペインの10番エルモソのキックは完全に読まれ、キャッチされてしまう。大きなピンチを防いだことで、その後、しばらくはイングランドが流れをつかんだ。

 ただスペインは守備面でも集中力が高く、ゴール前では体を張って攻撃を跳ね返した。イングランドの圧力をやり過ごすと、次第に運動量で上回り、逆にチャンスを築いていく。イングランドもアープスの好守で失点を食い止めたが、終盤は再びスペインが優勢だった。そしておよそ14分間の長いアディショナルタイムを終えて、試合終了の笛がなる。スペインがついに初優勝を成し遂げた。

 スコアは1−0と最小得点差での決着となったが、その内容を見れば、最後まで攻めの姿勢を見せ、球際で戦い、走り切ったスペインは優勝に値した。グループステージで日本に0−4で完敗した後、敗戦のショックを引きずることなくチームをしっかり立て直し、決勝トーナメントに入ってからはハイプレスとパスワーク、走力で常に相手を上回った。

 過去の大会に比べても大きな盛り上がりを見せ、レベルの高さも示した今大会。最後にカップを高々と掲げたのは、スペイン女子代表だった。

長いアディショナルタイムが終わり、試合終了の笛が鳴った瞬間、スペインの選手たちが感情を爆発させた(写真◎Getty Images)