1日、国立競技場でパリ・サンジェルマン(PSG)とインテルが親善試合で対戦した。比較的涼しい中で行われた試合は省エネのプレーではなく、プレッシャーをかけ合う展開となり、前半から白熱。PSGが攻め、インテルが受け止めては攻め返した。先制したのはPSGだが、終盤の2分間で途中出場の選手が躍動したインテルが逆転に成功。2−1で勝利を収めた。

上写真=PSGに先行を許すも終盤に逆転に成功し、勝利を収めたインテル(写真◎Getty Images)

■2023年8月1日 親善試合(@国立競技場/観衆50,139人)
PSG 1-2 インテル
得点:(P)ヴィティーニャ
   (イ)セバスティアーノ・エスポージト、ステファノ・センシ

1週間後の開幕に向けて課題が見えたフランス王者

 メッシが去り、エムバペも退団濃厚となっているPSGは、新戦力のアセンシオをフロントラインの中央に据え、攻撃的に戦った。今季から前スペイン代表監督のルイス・エンリケにチームは託されたが、アタック陣が刷新された中で新たに攻撃を構築することが新指揮官にとって重要のテーマとなっていた。

 この試合では3トップの左にソレール、右にビクトル・フェレーラが入ったが、インサイドハーフのウガルテ、ファビアン・ルイスも含め、連動性をいっそう深める必要がありそうだ。組み合わせも含め、まだまだ試している印象が強い。

 一方でインテルも新戦力のテュラムがラウタロ・マルティネスと2トップを組んだが、ゴールに絡むことはできず。ジェコやルカクの抜けた穴埋めを期待される一人であるだけに、早くチームにフィットすることが期待される。

 大づかみに記すなら、試合はボールを握って攻めるPSG、堅い守備からカウンターを放つインテルという構図で進んだ。先制点が生まれたのは63分。インテルペースで試合を運んでいたか見えた時間帯に、PSGがネットを揺らした。MFのヴィティーニャがボックスの外から右足一閃。出場を願ってネイマールコールがスタンドから湧き上がる中で鮮やかな一撃を決めた。

 その後、PSGは70分過ぎにマルキーニョス、ファビアン・ルイス、アセンシオら主力をベンチに下げ、選手を試しつつ試合をクローズさせることを狙った。インテルも71分と77分で3人を交代させ、エスポージト、センシ、ビスチェクを投入。すると、追う立場にあったインテルの交代策が当たった。81分にエスポージトが同点ゴールをスコア。さらに83分に右からのクロスに飛び込んだセンシが逆転ゴールを決めた。

 わずか2分間で試合をひっくり返されたPSGは残り時間で試合を振り出しに戻そうと圧力を強めたが、スコアを動かすことはできず、インテルが逆転勝利で試合を終えた。

 PSGはフランス・リーグアンの開幕を1週間後に控え、テストとしてもこの試合の位置付けは重要なものだっただろう。この試合の結果が今後に影響することはないだろうが、試合をうまくクローズさせることができず、インテルの守備組織を崩しきれなかったこと、2点目を奪えなかったことは課題として確認することになった。インテルのように守備が堅いチームがリーグアンに数多く存在するわけではないものの、エムバペらが退団し、指摘されているように攻撃力低下が現実のものとなると、リーグ王者と言えど、守る相手を攻めあぐねるケースが出てくる可能性は高い。いかに相手を崩し、ゴールを奪うか。開幕まで、そしてシーズンを進める中でもブラッシュアップが必要だろう。

 一方のインテルは交代で試合を動かし、手応えを得ることになった。また、2週間後に迎えるセリエA開幕を前に、新戦力をフィットさせることは当然必要だが、昨シーズン高めた守備力が健在であることを印象づけた。最終ラインを5人でセットしてから相手を引き込み、シンプルな繋ぎとGKのキックを使って攻守をひっくり返していく戦いぶりもチームでしっかり共有されていた。

新シーズンも組織立った守備は強みとなるだろう。ポイントはこれら昨季からのベースを継続した上で、いかに上積みができるかになる。この日は逆転に成功したが、ラウタロ・マルティネスの相棒探しは、しばらくチームのテーマになっていきそうだ。

▼出場メンバー
・PSG◎GKジャンルイジ・ドンナルンマ、DFアシュラフ・ハキミ、マルキーニョス(70分:ダニーロ・ペレイラ)、ミラン・シュクリニアル、リュカ・エルナンデス(65分:レイヴァン・クルザワ)、MFワレン・ザイール=エメリ、マヌエル・ウガルテ(80分:イスマエル・ガルビ)、ヴィティーニャ、FWファビアン・ルイス(70分:シェール・ンドゥール)、マルコ・アセンシオ(70分:ユーゴ・エキティケ)、カルロス・ソレール

・インテル◎GKフィリップ・スタンコビッチ、DFマッテ・ダルミアン、フランチェスコ・アチェルビ(71分:ヤン・アウレル・ビセック)、アレッサンドロ・バストーニ(68分:ステファン・デフライ)、MFデンゼル・ダンフリース(55分:フアン・クアドラード)、ニコロ・バレーラ(77分:ステファノ・センシ)、ハカン・チャルハノール(67分:クリスティアン・アスラニ)、ヘンリフ・ムヒタリアン(55分:ダヴィデ・フラッテージ)、フェデリコ・ディマルコ(55分:ロビン・ゴセンス)、FWマルキュス・テュラン(55分:ホアキン・コレア)、ラウタロ・マルティネス(77分:ステファノ・エスポージト)