Jリーグ全60クラブのホームタウン・社会連携(シャレン!)活動の中から、特に社会に幅広く共有したい活動を表彰する『2023Jリーグシャレン!アウォーズ』で、一般投票による『ファン・サポーター選考賞』を受賞したガイナーレ鳥取の表彰式が7月1日に行なわれた。Jリーグからクラブに記念の楯が手渡され、協働者には感謝状が贈られている。

上写真=7月1日のFC大阪戦の前に行なわれた表彰式。左から鳥取の塚野真樹代表取締役社長、米子市の浦林実教育長、株式会社チュウブの坂出伸一芝部参与、やまつみスポーツクラブの武海清理事長、Jリーグの辻井隆行執行役員(写真◎GAINARE TOTTORI)

過去受賞の2つの活動をミックス

 地域に根差したプロスポーツクラブの持つ価値を発揮している社会連携活動を称える目的で実施されている『Jリーグシャレン!アウォーズ』。4回目となる今年はJリーグ30周年に合わせ、昨年の活動に限らず、これが自分たちの代表的なシャレンという活動も選考対象とし、全60クラブからエントリーがあった。

 鳥取は今回、2020年の第1回でメディア賞(報道各社のスポーツ担当記者などが選考委員となり、「自身の媒体で取り上げたいと思う活動」を選考)を受賞した『しばふる』と、2021年の第2回でメディア賞を受賞した『復活!公園遊び』をミックスした『継続は笑顔なり。20年かけてつながった2つのシャレン』でエントリー。各クラブのファン・サポーターの「自身が応援しているクラブの地域でも実施してほしいと思える活動」という基準に沿って、一般投票で選考された『ファン・サポーター選考賞』(2023年に新設)を受賞した。

 『しばふる』は鳥取県米子市の練習拠点・オールガイナーレYAJINスタジアムで培ったノウハウをもとに立ち上げたプロジェクト。米子市の地域課題である遊休農地(後継者の不在などで荒れている耕作放棄地)を借りて芝生を生産し、その芝生を教育施設や社屋などに販売するものだ。芝生の生産はスタッフだけでなく、企業協力や障碍(しょうがい)者による軽作業協働でも実施しており、生産した芝生による施工実績を増やしている。

 『復活!公園遊び』は、鳥取が当時のJFLに在籍していた2003年からの活動。選手やスタッフが〝ガキ大将のお兄ちゃん〟となり、鬼ごっこなどの体を使った昔懐かしい遊びを通して、子どもたちのすこやかな成長を目指す。現在は幼稚園・保育園や小学校などを訪問して実施しており、シーズン中も選手が週1回、各地に出向いている。近年は『しばふる』の芝生が敷かれた施設で『復活!公園遊び』を行なうことも増えており、『20年かけてつながった2つのシャレン』でのエントリーと受賞につながった。
 
 Jリーグは各賞を受賞した名古屋グランパス、藤枝MYFC、カターレ富山、水戸ホーリーホック、モンテディオ山形の各ホームゲームでも表彰式を実施しており、鳥取では7月1日のFC大阪戦の前に行なわれた。Jリーグの辻井隆行執行役員から鳥取の塚野真樹代表取締役社長に記念の楯が手渡され、協働者の代表として出席した米子市の浦林実教育長、株式会社チュウブの坂出伸一芝部参与、やまつみスポーツクラブの武海清理事長にも、それぞれ感謝状が贈られている。

 辻井執行役員は「Jリーグは30年前、クラブ名に企業の名前ではなく、地域の名前をつけるホームタウン制度でスタートし、ホームタウンがあってこその活動であることを肝に銘じて、各クラブがいろいろな活動をされています。ホームタウンには、いろいろな社会課題がありますが、それをクラブと、それ以外の方々、3者以上で行なう活動をシャレンと呼んでいます」と説明。今後もJリーグが各クラブの活動を支援していく考えを示した。