上写真=ベルギー戦で先発フル出場を果たした藤田譲瑠チマ(写真◎飯尾篤史)
文・写真◎飯尾篤史
ヴランクスはレベルが高かった
大岩ジャパンの立ち上げから不動の存在だった藤田譲瑠が、今遠征では厳しい立場に追いやられた。横浜F・マリノスで控えに回っている影響もあり、3月24日のドイツ戦はベンチスタートとなったのだ。
だからこそ、3月27日のベルギー戦には並々ならぬ思いを抱えていた。
「クラブで出られていないので悔しい気持ちを持ってきましたし、ドイツ戦もスタメンじゃなくて悔しかったので、そういった気持ちをぶつけながら『俺はできるぞ』というところを見せられたらいいなと思います」
先発起用となった、そのベルギー戦(27日)。前半はチーム全体が押し込まれ、藤田もチームをコントロールすることができなかった。だが、後半に入って東京ヴェルディ時代の盟友、山本理仁とコンビを組むと、ボールに触る回数が増え、鈴木唯人のゴールのアシストをマークする。
「こうやって90分間出てみると、改めてサッカはー楽しいものだなって認識することできましたね」
なかでも特に藤田に刺激を与えたのがベルギーの8番、アステル・ヴランクスだった。ドイツのヴォルフスブルクから今季、ミランに買取オプション付きでレンタルを移籍を果たした20歳の俊英である。
「正直そこ(ヴランクス)しか見てなかったというか、他の選手はそんなに記憶に残ってないんですけど、彼はミランで出ている選手。彼は本当にレベルが高かったんで、自分も早く追いつけるようにとか、負けないようにまだまだ強くならないといけないなっていう目標ができました」
横浜FMでの喜田拓也と渡辺皓太の“壁”は決して低くないが、この2人に割って入れなければ、パリ五輪も、世界も見えてこない。世界基準を体感したボランチの巻き返しに期待したい。