U-23アジアカップを戦うU-21日本代表のメンバーで、唯一の大学生が佐藤恵允(さとう・けいん)である。6月9日のグループステージ第3戦タジキスタン戦で初出場・初先発・初ゴールと印象的な活躍だった。プロの仲間からのたっぷりな刺激に囲まれている。

上写真=佐藤恵允がタジキスタン戦で初出場・初先発・初ゴールだ(写真◎AFC)

「勉強になると思うのはオフ・ザ・ボール」

 今大会初出場初先発の佐藤恵允は、意外な形で初ゴールを手にした。

 6月9日、U-23アジアカップのグループステージ第3戦タジキスタン戦で56分、GKからパスを引き出したDFがまさかのパスミス、ペナルティーエリア内でじわりと寄せていた佐藤にプレゼントしてくれた。これを左足で難なく流し込んで、2-0とリードを広げたのだ。

「試合を振り返って納得するプレーではなかったけれど、数字を残せたのは自分の中ではよかったと思っています。でも、もっと流れの中で取りたいなというのは率直に思いました」

 ゴールはゴール。しかも、アジアの公式戦でグループステージ突破を決める試合での追加点。タジキスタンと力の差はあったとは言え、初出場の佐藤にとっては大きなゴールであっても良かった。それでも、「もっとボールに関わって、背後でもそうですしくさびを受けてからゴールに向かうシーンを増やしたかった」と反省ばかりだった。

 30分にはPKを獲得している。正確には「獲得したはずが取り消された」のだが、これは左サイドで相手がGKに返したパスを狙っていて、鋭く奪って抜けたところでGKの足にかかって倒された。一度は主審が笛を吹いてPKを宣告したが、VARの助言によって主審が最終的に正当なチャージだったと認め、PKは取り消された。

「自分の中では絶対にPKだという思いがあって、悔しさが残りますね」

 さすがに苦笑いだが、このシーンとゴールの場面に共通するのは、相手のミスを鋭く突く感覚と、それを可能にするポジショニングだ。

「1トップだったので、ポジショニングは意識してやっていました。その2つのシーンは確かに結果的にポジションが良かったですね。(大岩剛)監督からは前からはめにいこうと言われていて、それが功を奏してボールを奪えることにつながったので、そこは良かったです」

 今回のメンバーでは、唯一の大学生。明治大では2トップの一角や4-3-3であれば左右のウイングでプレーすることが多いというが、この日は1トップで精力的に動いてボールに関与していった。海外組もいればJ1、J2でプレーするプロもいて、その中に入って刺激を受けないわけはない。

「勉強になると思うのはオフ・ザ・ボールの動きです。ボールを持った上での技術も高いものを感じますし、それ以外にオフ・ザ・ボールの動きもレベルが高いと感じていて、そこは自分に足りないところ。これから自分のキャリアにとって必要だと思うので、いいところを吸収して今後につなげたい」

 今回のメンバーでは、細谷真大、松岡大起、斉藤光毅とコミュニケーションを取ることが多いという。斉藤からはベルギーのサッカーについて聞いていて、それが向上心をかき立てる。

「ベルギーの選手は個の力がものすごいと聞いて、自分も強さを売りにしていますが、まだまだ足りないと感じました。もっと伸ばして世界の選手と戦えるようになりたいと思います」

 アジアで戦いながら、ヨーロッパの基準も染み込ませる。佐藤にとって貴重な日々だ。それを少しでも長く続けるためにも、まずは準々決勝で韓国を倒してみせる。

【試合情報】
『AFC U23アジアカップ2022 準々決勝』
▼2022年6月12日(日):22時キックオフ
・韓国代表(C1位)vs日本代表(D2位)
※DAZN独占配信