UAEのドバイで開催されている「ドバイカップU-23」。U-21日本代表が参加しているが、3月23日の初戦ではU-23クロアチアと対戦。序盤からチャンスを数多く作ったが、そのきっかけは開始直後の斉藤光毅の強烈なシュート。これで勢いに乗り、1-0で勝利を収めた。

上写真=斉藤光毅は同世代の選手とのプレーで「常に刺激もらえるし危機感が芽生える」(写真◎スクリーンショット)

■2022年3月23日 ドバイカップ U-23(@UAE・ドバイ)
日本 1-0 クロアチア
得点:(日)小田裕太郎

「まだまだやらなければ」

 チームに勢いをもたらすきっかけを作ったのは、斉藤光毅だ。キックオフから左サイドにボールがつながれると、鈴木唯人からタッチライン際で受けて、カットインから2人の敵の間をすり抜けて強烈に右足でシュートを放った。わずかに右にそれていくが、ここから立て続けにチャンスを迎えて一気に勢いに乗ったから、わずか開始25秒ほどで見せた思い切りの良さが日本の好リズムを生んだのは間違いない。

「個人的には点を取って結果を残したかったので、勝てたことはいいと思っていますが、チャンスは多かったけれど自分のボールロストも多くて、まだまだやらなければいけなかった」

 自己評価は辛口だった。

 それでも、ほかにも気持ちのいいチャンスは作った。18分にはセンターバックの西尾隆矢から縦パスを引き出し、田中聡に落として前向きで運ばせ、最後は鈴木唯人のフィニッシュにつなげている。攻撃をスピードアップさせる田中へのワンタッチパスが効いていた。22分にはペナルティーエリアの中で相手の動きをじっくり見ながら後ろに戻りかけて切り返し、縦に突破、左足で折り返して藤尾翔太のヘディングシュートを導き出している。開始直後のカットインの残像を利用してダミーに使い、今度は縦に抜いてみせた。60分には左サイドでドリブルと見せかけて、優しく左へ小さく送り、内側に入ってきた左サイドバックの成瀬竣平を裏に走り抜けさせた。強烈なフィジカルを持つクロアチアを恐れずに、プレーの一つひとつに余裕すらうかがわせた。

「センターバックからの縦パスでいい場面を作れましたが、個人的には寄りすぎてしまってちょっとスペースをつぶしてしまった場面もありました。ハーフタイムや試合中にコミュニケーションを取って、みんなから言われたり僕が要求したりできています。時間が少ない中ではコミュニケーションが大事なので一つひとつの場面で増やして、いい場面を作れればと思います」

 全員が揃ったのが試合前日で、いわば即席チームではあったが、ほかにも多くのチャンスを作っている。その理由が、この要求し合う姿勢だったわけだ。

 斉藤自身は合流前の3月19日に、所属するロンメルSKでベルギー2部のワースラント・ベフェレン戦でダイビングヘッドでゴールを決めている。まだ負傷上がりの影響が残ると話すものの、状態は上向きだ。

「自分らしく楽しみながら、が大前提ですけど、結果が求められます。楽しみながら結果を求めればついてくると信じているので、そう意識してやっていきたいと思います」

 この日の「きっかけのファーストシュート」のように、大胆に生き生きと駆け回るのが斉藤の真骨頂。次はその楽しさを26日のU-23カタール戦で披露する。