JFLの鈴鹿ポイントゲッターズに移籍したカズが、新チームでの初練習を終えて記者会見に臨んだ。55歳の年の新しい挑戦に意欲たっぷりで、チームとして「J3への昇格」、個人として「30試合すべてフルタイム出場して30ゴール」を大目標に、プロフットボーラーとして37年目のスタートを切った。

上写真=初めて新しいユニフォームに袖を通したカズ。もちろん背番号は11だ(写真提供◎鈴鹿ポイントゲッターズ)

フーテンのカズさん

 J1の横浜FCから実質4部のJFLに所属する鈴鹿ポイントゲッターズへ。カズ(三浦知良)がいよいよ新しい挑戦を始めた。

「クラブの目標であるJ3昇格を一番大事に考えているので、そこに向かってチームの成長、そして僕自身がみんなとクラブとともに成長していきたいと思っています」

 プロ生活37年目になっても、「うまくなりたい」の思いは変わらない。

「自分がここまでずっとサッカーに対して向き合ってきた気持ちは、これからも変わらないと思います。特に新しく自分を変えて何かをやるというよりは、いままでの情熱をこの鈴鹿という新しい場所で燃え上がらせることができればいい。試合に勝つこともそうですけど、自分の情熱を伝えられたらいいと思っています」

 映画『男はつらいよ』でフーテンの寅さんこと車寅次郎が伊勢神宮を訪れたことを引き合いに出して、三重での生活を「フーテンのカズさん」として楽しみたいとも話したが、ピッチに立てば闘争心は衰えない。

「JFLは30試合あるんですけど、30試合で90分、全部出たいです。それが正直な気持ちです。無理と言ってはなんだけど大変だとは思いますが、選手としては全部フルタイムで出場したいし、30試合なので30点取りたい。毎日、その目標を持って頑張りたいと思います」

 高い目標を持ち続けて努力すること。当たり前のことをチームメートに背中で伝えるつもりだ。

 環境が変わり、「サッカーストッキングが支給されなかった」と笑いながらエピソードを披露したが、JFLでの戦いはまたこれまでとは違った緊張を強いると考えている。

「対戦相手は僕には(ゴールを)取らせたくないと思っているんじゃないかな。55歳の選手に取られたくないという気持ちは持っていると思う。でもそこで、自分が求められるゴールこだわって取りに行く気持ちがないと取れないと思っています」

 対戦相手もこの言葉を聞いて燃えるだろう。それを乗り越えるために、日々努力していく。

 移籍の決め手は、実兄である三浦泰年監督の存在と、昨年の試合で良いサッカーをしていたから、という。

「横浜FC時代に、サッカーをあまり知らない友だちが見に来て、面白い試合だったよと言ってくれたのは、しっかり組み立てて連動してゴールまで行くサッカーだったからでした。逆に何がつまらないかというと、頭の上をボールが行ったり来たりすることだと、サッカーを知らない人でもそう答えるんです。僕自身もパスが回ってスムーズに動いてゴールに行く、効率的、合理的にゴールに向かうのがいいサッカーだと思います。ヤスさん(三浦泰年監督)のサッカーはそれを目指しています」

 そして、その「いいサッカー」の中で自分が生きるイメージも湧いてきたという。

 3月13日、ホームにラインメール青森を迎えて、鈴鹿ポイントゲッターズの、そしてカズの新しいシーズンが始まる。