U-22日本代表は28日、『AFC U23アジアカップウズベキスタン2022予選』の香港戦に臨み、勝利を飾った。藤尾翔太が2得点、郷家友太、細谷真大がそれぞれ1ゴールをマークし、4-0で快勝。予選2連勝を飾り、来年6月開催予定のU-23アジアカップ出場を決めた。

上写真=先制ゴールを挙げた藤尾翔太(写真◎山口高明)

■2021年10月28日 AFC U23アジアカップウズベキスタン2022予選(@Jヴィレッジ)
香港 0-4 日本
得点:(日)藤尾翔太2、郷家友太、細谷真大

・U-22香港メンバー◎GKツェ・カウィン、DFセバスチャン・バドル(78分:ウー・カヤン)、アレクサンダー ジョジョ(86分:チャン・チュンヒン)、イプ・チュクマン、リョン・ヤウワイ、チェン・ツスム(59分:イチカワ・ソウゴ)、MFユー・ジョイイン、チェン・チュンワン(78分:チウ・ワンチュン)、ラム・ヒンティン、チャン・シンイチ、FWジョーダン・ラム(86分:ウォン・チーホン)

・U-22日本メンバー◎GK小畑裕馬(82分:杉本光希)、DF半田陸、馬場晴也、佐古真礼、畑大雅、MF松岡大起(82分:松木玖生)、藤田譲瑠チマ、郷家友太(69分:甲田英將)、FW中村仁郎(46分:佐藤恵允)、藤尾翔太(69分:細谷真大)、鈴木唯人

目指すべきところは高い場所にある

 試合の開始から5-4-1のブロックを敷く相手に手を焼いた。だが日本には焦りはなかった。相手が引いて守ることも想定済みだったからだ。冨樫剛一監督は「事前のトレーニングからシミュレーションはできていた」と明かした。実際、焦れることなくプレーする。ボールを動かしつつ、ここぞのタイミングでは人数をかけてブロック崩しを狙った。ゴールの道筋は下からだけではなく、上からも。セオリー通りの攻め筋で先制点を挙げた。

 素早いパス交換で左サイドを攻略すると、左サイドバックの畑のクロスをCFの藤尾がヘッド。理想的な崩しからネットを揺らした。その後、追加点を奪えない時間が続いたが、後半に入ると、日本の攻めが加速する。49分には再び藤尾が輝いた。右CKの流れからボールを保持すると、左へ展開。佐古のクロスを再びヘッドで決めた。

 相手を圧倒するというよりもじわりじわりと追い詰めていく。ボールを積極的に動かしながらペースを握り、着々と得点を重ねていった。63分には藤田、佐藤とつなぎ、最後はゴール前に入り込んだ郷家が相手GKの位置を見つつ、ねじ込む。さらに85分には途中出場の松木が相手のボールホルダーにアプローチし、こぼれ球を拾った細谷がそのまま持ち込んで右足で仕上げた。

 日本はカンボジア戦に続き、4-0で香港に勝利。快勝で来年6月のU-23アジアカップの出場を決めた。

「リスタートのところで相手を上回って、優位に立てたのは良かった。交代した選手もより違ったものを示してくれて、23人全員で戦うことができました。2チームを全く違った形で編成しても戦えたことは日本の育成の成果だったと思います」

 予選突破を決めたことはもちろん、カンボジア戦と先発を総入れ替えして臨み、きっちり勝利をつかんだことを指揮官は収穫として挙げた。合宿期間が短く、戦術の落とし込みを図る時間はほとんどない中でも、代表として戦う意義やチームのベースとなる部分を選手間で共有できたことも大きかった。

 キャプテンマークを巻いた郷家は試合前の円陣を組んだ際に「この年代(=パリ五輪世代)はU-20W杯が中止になって、すごく悔しい気持ちを持っていると思う。それでこういうご時世で国際大会を開いてもらえたことに感謝し、自分の気持ちに正直になってピッチで表現しよう」と語りかけたという。郷家自身は上の世代にあたるが、このチームの中心であるパリ五輪世代の選手にとって、今回の2試合が大きな経験になったのは間違いない。

 試合後のピッチでは、Uー22代表の選手とスタッフが話し合う場面が見られた。冨樫監督は選手にこんなメッセージを送ったという。

「6月のウズベキスタン大会に進むことができましたけど、それ以上にみんなの目指すべきところは高い場所にある。これからは自チームに帰って試合に出る、ポジション争いに勝つ、日常を高めていくことを期待しているという話をしました」

 選手はここから、それぞれのチームに戻り、研鑽を積むことになる。ウズベキスタン大会までの間にどこまで成長を遂げられるか。そしてその先のパリ五輪に何をつなげていくのか。指揮官の言葉通り、求められるのは今回の予選突破に満足せず、前に進むこと。目指すべきは「もっと高い場所」である。

取材◎佐藤 景 写真◎山口高明