U-22日本代表は26日、『AFC U23アジアカップウズベキスタン2022予選』のカンボジア戦に臨み、4-0で勝利を飾った。前半はなかなか連動できなかったが、それでもCKから松木玖生、独力で甲田英將がゴールをスコア。後半はコンビネーションで局面を打開する数を増やし、細谷真大、中村仁郎が得点して快勝。初戦を白星で飾った。

上写真=先制ゴールを挙げた松木玖生をチームメイトが祝福する(写真◎山口高明)

■2021年10月26日 AFC U23アジアカップウズベキスタン2022予選(@Jヴィレッジ)
日本 4‐0 カンボジア
得点:(日)松木玖生、甲田英將、細谷真大、中村仁郎

・U-22日本メンバー◎GK佐々木雅士、DF山原怜音、チェイス・アンリ、角田涼太朗(86分:佐古真礼)、加藤聖、MF松木玖生(72分:鈴木唯人)、松井蓮之、田中聡(59分:藤田譲瑠チマ)、FW甲田英將(59分:中村仁郎)、細谷真大(86分:藤尾翔太)、佐藤恵允

・U-22カンボジアメンバー◎GKフル・ムフイ、DFチャン・サラピッチ(87分:ソー・ロタナ)、テス・サムバス、ユエ・サフィ、スー・バラン、MFシン・カカダ(68分:ナロン・カカダ)、ソエス・ナバ、ミン・ラタナック、FWソシダン・ネアン(78分:レン・ノラ)、シエン・チャンテア、リム・ピソット

前半は「正解を探しながらプレーしていた」(冨樫監督)

 全員が集まって練習できた時間は限られる。日本代表のユニフォームをまとって初めてプレーする選手もおり、カンボジア戦の前半は硬さが見られた。選手同士の意識のズレからボールをロストするシーンも散見。4-3-3で初めてプレーする選手も多い中で、プレスがかからず、相手に運ばれて守備で後手を踏むケースもあった。

 しかし、相手のミスにも助けられて致命傷には至らない。日本は攻守にちぐはぐなプレーが目立った立ち上がりの時間をやり過ごすと、次第に個の力で局面を打開し始めた。

 開始10分、先制点が生まれる。右CKの場面でファーサイドに流れてきたボールを松木が頭でプッシュ。「セットプレー時にファーが空く」とのチームの分析通り、しっかりスペースに入り込んで相手よりも先に反応してみせた。「こういう国際試合の中でリスタートで優位に立てるというのは非常に大きいし、準備していたもので先制点を取れたことは大きかった」と冨樫剛一監督も振り返る、重要な1点だった。

 2点目も前半のうちに奪うことに成功する。終了間際の45分、松井のパスを受けた甲田が右サイドからドリブルでボックス内に切り込み、左足を一閃。鋭いシュートでネットを揺らした。

 2-0とした日本は後半、ますます積極的にゴールを目指して始める。「大事にプレーしようと、正解を探しながらプレーしていた」と冨樫監督が指摘した前半に比べて「やることを整理した」後半は連動性も高まった。

 52分にボール奪取に成功した佐藤のパスを受けた細谷が左足で決め、73分には相手陣内でボールを回収して、細谷の落としから中村が左足で叩き込んだ。終わってみれば前半に2点、後半にも2点を挙げる理想的なスコア。まずは結果と指揮官も選手たちも話していたが、攻撃では複数得点、守備では無失点を実現し、きっちり勝ち点3を手に入れた。

「初めて一緒にプレーする選手が多かった」と松木が振り返ったように、急造の側面も強い中で、選手はそれぞれができることをやり切った。まだまだチームとしては粗削りで、線としてプレーがつながる場面が限られたのは事実だ。ただ、松木、甲田、中村がネットを揺らし、チェイス・アンリもCBとして無失点に貢献するなど、今回のチームでは下の世代にあたる高校生たちが国際試合で躍動したことは、チームにとってプラスだろう。彼らを含め、コロナの影響で国際舞台から遠ざかっていた選手たちが日の丸を背負って戦えた意味も大きい。

「このチームは幅広い年代で編成していますし、実際に育成年代からみんなで積み上げてきたもの、あるいはスカウティングの中で本当に上につながっていく選手だからこそ、高校生でもこのチームにいる」と冨樫監督も将来を見据えて、その活躍を評価した。

 初戦に完勝し、今回のミッションである予選突破へ前進したU-22日本代表。次は中1日で香港戦に臨む。

取材◎佐藤景 写真◎山口高明