東京五輪の男子サッカーが7月22日に開幕し、1次リーグA組では、メキシコとフランスが対戦した。序盤から激しくアグレッシブなゲームになったが、次第にメキシコがペースを握り、後半一気に4ゴールをスコア。フランスの反撃を1点に抑えて完勝を飾った。圧倒的な強さを示したメキシコは25日の第2戦で日本と対戦する。

上写真=先制ゴールを挙げたベガ(11番)とアシストしたライネス(10番)が歓喜の抱擁(写真◎Getty Images)

■2021年7月22日 サッカー男子1次ラウンドA組(@東京スタジアム)
メキシコ 4ー1 フランス
得点:(メ)アレクシス・ベガ、セバスティアン・コルドバ、ウリエル・アントゥナ、エドゥアルド・アギーレ
   (フ)アンドレピエール・ジニャク

・メキシコメンバー:GKギジェルモ・オチョア、DFホルヘ・サンチェス、セサル・モンテス、ホアン・バスケス、エリク・アギーレ、MFカルロス・ロドリゲス、ルイス・ロモ、セバスティアン・コルドバ(72分:ホアキン・エスキベル)、FWディエゴ・ライネス(72分:ウリエル・アントゥナ)、エンリ・マルティン(88分:エドゥアルド・アギーレ)、アレクシス・ベガ(84分:ロベルト・アルバラド)

・フランスメンバー:GKポール・ベルナルドニ、DFクレマン・ミシェラン、ピエール・カルル、モディボ・サニャン、アントニ・カシ(90分:メルバン・バル)、MFテジ・サバニエ、リュカ・トゥサール(60分:アレクシ・ベカベカ)、フロリアン・ソーバン(79分:ナタナエル・ムブク)、エンゾ・ルフィー、アルノー・ノルダン(60分:ランダル・コロムアニ)、FWアンドレピエール・ジニャク

攻めも守りも意欲もメキシコにスキなし

 気温30度を超える酷暑の中で17時にキックオフのゲームながら、両チームともにスタートからアグレッシブに前に出た。メキシコは10番ライネスを中心にゴールに迫り、ベガやマルティンがボックス内でシュートチャンスを得てゴールを狙っていった。一方のフランスもジニャクが前線で基準点となり、攻撃を展開。しかしノルダンが迎えた決定機もジニャクのシュートもメキシコのGKがオチョアがストップした。守備面でも両者は強度が高く、前半45分は素早い寄せと激しいボールの奪い合いが繰り広げられた。

 均衡を破ったのはメキシコだった。前半から再三、積極的に仕掛けてチャンスを生んでいたライネスのドリブルがきっかけになった。右サイドを切り裂き、クロスを上げるとタイミングよくベガが飛び込んでネットを揺らす。1点を取ったメキシコはその勢いを駆って攻勢を強めていく。55分には、相手がファウルを自覚してプレーを一瞬止めたそのスキを見逃さず、ロドリゲスの縦パスから裏に抜け出したコルドバがニアサイドに蹴り込んで2点目を記録した。

 攻守の切り替えの早さとチャンスと見るや多くの選手がゴール前に殺到するプレーが効果的で、メキシコはその後も優位にゲームを進めた。フランスも選手交代を機にペースをつかみ、途中交代のコロムアニがボックス内で倒されてPKを獲得。これをジニャクがきっちり決めて1点を返したが、反撃の狼煙とはならず、逆にメキシコの猛攻の呼び水になってしまう。

 メキシコも選手交代を機に、攻勢を強めた。ライネスに代わってピッチに入ったアントゥナが切れ味鋭いプレ-でネットを揺らす。サイドチェンジのパスを右サイドで受けると、ボックス右から中央へとボールを運び、左足を一閃。ゴール左隅に叩き込み、フランスを突き放した。さらにマルティンに代わって試合終了間際に登場したアギーレも相手のパスミスを見逃さず、抜け目なく得点。メキシコが4-1として、フランスに完勝した。

 攻めも守りも勝利への意欲も、メキシコはフランスを上回っていた。しかも最後の一瞬まで手を抜かない。日本の第2戦の相手は、攻守ともにバランスが良く、メンタルの準備も十分。つまりは、手ごわい。ロンドン五輪以来の金メダル獲得を公言するチームの実力は、本物だ。