ヨーロッパ最強国を決める蹴球の祭典『EURO2020』はグループステージ(GS)第1節を終えた。出場24カ国のうち、決勝トーナメントに進出できるのは16カ国。ネクストステージ進出のために重要な第2節を迎える前に、GS第1節をハイライトで振り返る。今回はD組からF組編(A組からC組は別記事)。死の組と言われるグループFで最初に笑ったのは、どの国なのか?

グループF・第1節
死の組の初戦で笑ったのは前回王者と世界王者

■6月15日 GS第1節・グループF(@ハンガリー:プスカシュ・フェレンツ・シュタディオン)
ハンガリー 0-3 ポルトガル
得点:【ポ】ラファエル・ゲレイロ(84分)、クリスティアーノ・ロナウド2(87分、90+2分)

なかなか得点できなかったが、最後に2ゴールを挙げてポルトガルを勝利に導いたC・ロナウド(写真◎Getty Images)

 ボールを支配し、ゲームをコントロールした。しかしポルトガルは、ハンガリーの粘り強い守備の前になかなかゴールを奪えない状態が続いた。C・ロナウド、ジョタ、B・フェルナンデスらが何度もゴールに迫るが、GKの好守に阻まれてネットを揺らせない。時計の針が進み、試合が残り10分となると、ハンガリーのショーンがカウンターから単独突破をはかってシュートを突き刺した。だが、ライン裏に飛び出すのがわずかに早くオフサイドの判定。肝を冷やしたポルトガルは、遅まきながら、ここでようやく目を覚ます。84分に右サイドを攻略して、ゴール正面からR・ゲレイロがシュート。ボールは相手DFに当たってコースが変わりゴールに吸い込まれた。3分後、R・シウバが倒されて得たPKをC・ロナウドが沈めて追加点。さらにアディショナルタイムにもワンツーでボックス内に切り込んだC・ロナウドが決めて3-0。8分間で3ゴールという圧巻の畳みかけを見せ、前回王者がハンガリーを下した。

■6月15日 GS第1節・グループF(@ドイツ:アリアンツアレーナ)
フランス 1-0 ドイツ
得点:【フ】OG(20分)

リュカ・フェルナンデス(左)のダイレクトのクロスがフンメルスのOGを誘発した(写真◎Getty Images)

 グループステージ第1節で最も注目されたカードだった。世界王者フランス対EURO最多優勝国のドイツ。幾多の名勝負を繰り広げてきた両国とともに前回王者ポルトガルも同居するグループFは、今大会の『死の組』になった。先制したのはフランスだ。右サイドから上げたポグパのクロスを、左からボックスに進入したリュカ・フェルナンデスがダイレクトで折り返すと、自陣のゴールに戻りながらフンメルスがクリアするものの、ボールは無情にもゴールイン。オウンゴール(OG)でフランスがリードを奪った。1-0のまま折り返した後半、フランスはギアを上げてドイツを翻弄する。ドイツの好機はニャブリのボレーくらいだったか。ムバッペとベンゼマのゴールはオフサイドで取り消されたが、勢いは完全にフランスのもので、相手ゴールに何度も迫った。それでも2点目は生まれず、試合はOGによる1点で決着することになったが、注目される相応しい濃密な戦いが繰り広げられたと言っていい。初戦をモノにしたフランスは次戦でハンガリーと、負けられないドイツはポルトガルと、共に19日に対戦する。死の組の行方を占う試合になりそうだ。

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