ヨーロッパ最強国を決める蹴球の祭典『EURO2020』はグループステージ(GS)第1節を終えた。出場24カ国のうち、決勝トーナメントに進出できるのは16カ国。ネクストステージ進出のために重要な第2節を迎える前に、GS第1節をハイライトで振り返る。今回はD組からF組編(A組からC組は別記事)。死の組と言われるグループFで最初に笑ったのは、どの国なのか?

グループE・第1節
スペインはスウェーデンとドロー

■6月14日 GS第1節・グループE(@ロシア:クレストフスキー・スタジアム)
ポーランド 1-2 スロバキア
得点:【ポ】リネティ(46分)
   【ス】OG(18分)、シュクリニアル(69分

レバンドフスキもこの日は不発。スロバキアの集中した守備が光った(写真◎Getty Images)

 大黒柱の退場が戦局を大きく左右することになった。前半18分にマクに右サイドを破られ、ボックス内からシュートを許すと、ポストに当たったボールが守護神シュチェスニーに当たってゴールイン。不運な形のオウンゴール(OG)により、ポーランドはスロバキアに先行された。しかし後半開始直後に複数人が絡む細かいパスワークで守備網を突破し、ゴール前でリネティが左足を合わせて追いついてみせる。と、ここまで良かった。試合を振り出しに戻したのも束の間、62分に不運に見舞われる。ナンバー10を背負う攻守の要クリホビアクがラフプレーにより、この日2枚目のイエローカードを受けて退場となったのだ。柱を失ったポーランドは、数的優位になったスロバキアにゴールを献上しています。直後の69分。右CKの場面でシュクリニアルがゴール正面から蹴り込まれ、勝ち越しを許す。下馬評では不利と見られていたスロバキアが、見事に勝利を手にした。

■6月14日 GS第1節・グループE(@スペイン:エスタディオ・オリンピコ・セビージャ)
スペイン 0-0 スウェーデン
得点:なし

粘り強い戦いぶりでスペインにゴールを許さなかったスウェーデン。勝ち点1を獲得した(写真◎Getty Images)

 ボール支配率で75%を記録。パス本数は954本で、成功数は852本。シュート数も17本対4本。スペインは数字の上でスウェーデンを圧倒した。だが、手にした勝ち点は、等しく1点ずつ。ボールを持ったように見えて、その実、持たされていたのか。今大会初のスコアレスドローという結果を前にすると、そう言われても仕方がないか。ブスケツが新型コロナの影響で欠場することになったが、ボールが回らなかったわけではない。最終局面で体を張り、タフに守るスウェーデンの守備を崩せなかった。スペインが優勝候補に挙げられない理由は得点力不足という課題があるからか。戦前から指摘されていた課題を、初戦で露呈することにもなった。前半にはダニ・オルモのシュートやモラタが絶好機を迎えたが、相手GKオルセンの好守に阻まれ、ネットを揺らせず。その後もシュートチャンスはあたったものの、決められず、逆に相手の拙攻に助けられる場面もあった。攻めたスペイン。守ったスウェーデン。手にした勝ち点1はこの試合に限れば、スウェーデンの方がより価値あるものだったかもしれない。