ヨーロッパ最強国を決める蹴球の祭典が開幕した。コロナ禍により1年開催が延期となったが、大会名は『EURO2020』のまま、6月11日にスタートしている。ここではグループAからCまでのグループステージ(GS)第1節をハイライトで振り返る(D組からF組編は別記事)。ロシア・ワールドカップの優勝国フランス、前回王者ポルトガル、FIFAランキング1位のベルギー、予選の無敗のイタリア、前評判が高いイングランドは、それぞれ順当に勝利を飾り、大会制覇に向けて好スタートを切った。第2節を迎える前に、大会の『流れ』をチェックしておこう。

グループB・第1節
ランク1位のベルギー、貫禄のスタート

■6月13日 GS第1節・グループB(@デンマーク:パルケン・スタディオン)
デンマーク 0-1 フィンランド
得点:【フ】ボボヤンパロ(60分)

決められれば、同点に追いつかれる場面でフィンランドの守護神フラデツキーは見事にホイビャーのキックをストップした(写真◎Getty Images)

 グループBの本命はFIFAランキング1位のベルギーであるのは間違いないところだったが、グループステージの3試合を母国で戦うデンマークには地の利があり、16強進出へ優位な立場にあると見られていた。しかし、予期せぬアクシデントによってチームに動揺が走る。10番を背負うクリスチャン・エリクセンが前半40分にピッチで倒れ、救急搬送されたのだ(その後、容体は回復)。心肺蘇生がピッチで行なわれるなど、スタジアムは騒然となり、ゲームは一時中断。2時間後に再開後されたが、前半何度も好機を創出していたデンマークは、前半のような流れを生み出せなくなっていった。そして60分にゴールを献上する。ウロネンの左からのクロスに対して、ボックス内でうまくポジションを取ったポポヤンパロがヘッド。フィンランドがチャンスをモノにした。その後、デンマークも74分にポウルセンが倒されて、PKを獲得し、同点のチャンスを迎えたが、ホイビャーのキックはGKフラデツキーにキャッチされ、万事休す。0-1で敗れた。

■6月13日 GS第1節・グループB(@ロシア: クレストフスキー・スタジアム)
ベルギー 3-0 ロシア
得点:【ベ】ルカク(10分、88分)、ムニア(34分)

2ゴールを挙げて勝利に貢献したベルギーのFWルカク(写真◎Getty Images)

 ベルギーが圧巻の攻撃力を披露した。ロシアのCBセミョノフのクリアミスをも逃さず、エースのルカクが開始10分に先制に成功すると、34分にはT・アザールのインスイングのクロスを相手GKシュニンが弾き、そのこぼれ球にムニエが詰めて追加点。前半のうちに2点のリードを奪った。対するロシアも後半からフォーメーションを3バックに変更して反撃に出るが、ベルギーの牙城を崩すには至らず。逆に終了間際にムニエのスルーパスからルカク抜け出してベルギーがダメ押し。ロシアのホームで行なわれた試合ながら、目立ったのはベルギーの揺るぎない強さ。FIFAランキング1位の実力を満天下に示した。