上写真＝うれしい移籍後初、J2初のゴールを決めた三沢直人（左）が、アシストした川崎颯太と喜び合った（写真◎J.LEAGUE）
■2021年2月28日 明治安田生命J2リーグ第1節（＠ギオンス/観衆2,470人）
相模原 0-2 京都
得点：（京）ヨルディ・バイス、三沢直人
「ちょっと相手が早く動いたので」
まるで、うなりを上げるようなパンチの効いた一発だった。三沢直人が突き刺したJ2初ゴールは、京都サンガF.C.に開幕戦勝利をもたらす追加点となった。
今季、J3のガイナーレ鳥取から移籍してきた技巧派MF。新しい京都を体現する選手の一人だ。この日はベンチスタートだったが、67分にビッチに飛び出すと、左インサイドハーフの位置をベースにしてボールを動かす中継役になっていった。
チョウ・キジェ監督からの指示は「前にボールをつけて、積極的にゴールを狙っていけと言われました」だった。「わりと押し込んでいる時間帯なので、自分たちのサッカーができていたのではないか」と感触がいい状態でのJ2デビューになった。
82分に松田天馬の左からのCKをヨルディ・バイスがヘッドで押し込んで、京都が先制。さらに攻め立てると、85分にそのシーンがやってくる。中央に立った三沢は、右隣にいた川崎颯太からの横パスを受けた。
「何回か横からもらって逆に流すというシーンがあって、最初は自分もそれを意識していたんです。でも、相手が先に動いたのでシュートに切り替えました」
「最初にもらったときにパスを考えていたんですけど、ちょっと相手が早く動いたので逆を突いて、そのあとは前に運んですぐに打てました」
目の前にスペースが空いたのを見逃さず、トントン、と右前に二つ持ち出して、ペナルティーエリアの少し外から右足を振った。ものすごいパワーショットがゴールに飛び込んだ。
「途中から入って流れを変えないといけないと思っていたので、決まってよかったです。安心したというのはあります」
J2デビュー戦にも「あまり変わらないですね」と笑い、出場即初ゴールも興奮した様子もなく淡々と振り返り、「昨日、嫁の誕生日だったので決められてよかったです」と試合直後に愛妻家ぶりを披露するあたりは、大物の予感。
「どこでもできるという感覚です。与えられたところでやっていきたい」とオールラウンダー宣言だ。チョウ監督がもたらす速さと強さに、独特のうまさを加える存在として、最高のお披露目になった。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE