FC東京は2月27日の明治安田生命J1リーグ第1節で、埼玉スタジアムに乗り込んで浦和レッズと戦った。結果は1-1のドローだが、内容は劣勢。プロ2年目となる安部柊斗は反省だらけの90分を超えて、次に進んでいくしかない。

上写真=アグレッシブに戦ってフル出場した安部柊斗。今季も欠かせない存在になりそうだ(写真◎小山真司)

■2021年2月27日 明治安田生命J1リーグ第1節(@埼スタ/観衆4,943人)
浦和 1-1 FC東京
得点:(浦)阿部勇樹
   (F)森重真人

「前線からプレスがかからず、浦和のペースに」

 安部柊斗のプロ2年目は、スッキリとしないドロー劇で始まった。

 運動量が豊富で体をぶつけて進んでいくことをいとわず、攻守の切り替えの瞬間の集中力が高いから、4-3-3システムのインサイドハーフは適任だ。ただこの日は、長谷川健太監督が「なかなか中盤で落ち着きどころが作れなかった」と話したように、せっかく奪ったボールもミスから手放し、ボールとともにプレーするスタイルに変貌しようとしている浦和にわざわざエサを与えるような形になった。

 安部は反省ばかりだ。

「久しぶりの公式戦で、僕も含めて全員がいつもと違うというか、感覚がみんなバラバラで重くなった印象です。最初の失点はVARで助けてもらって、そのあとから東選手を中心に、集中していこう、前から行こうと言っていたんです。それがなかなか前線からプレスがかからず、浦和のペースになってしまいました」

 長谷川監督も「中盤で落ち着くと時間が作れますが、今日は開幕戦でいつもと違って緊張もあったと思いますし、アウェーということで気持ちもいつもと違ったかもしれません。冷静にプレーできていない選手もいて、内容的によくなかったと思います」と認めている。

 この日はアンカーにアルトゥール・シルバを置き、インサイドハーフの右が東慶悟で左が安部。昨年からのメンバーなのだが、うまく回らなかった。後半途中からは4-2-3-1にシフトチェンジして安部はアルトゥール・シルバと中盤の中央に並ぶことになった。

「去年も試合中に4-3-3から4-2-3-1に変わったことはあったので、そこまで困ったりはしていません。ただ、守備への行き方が違ってくるので、左のアダイウトンをどう動かすかなんですけど、それがうまくできずに守備がはまりませんでした。アダイウトンにしっかり伝えられるようにならないと、どこかに穴が生まれてしまいます」

 細やかなコミュニケーションで改善していくしかない。

「今日は本当にほとんどの選手が自分の思ってるプレーできていなかったと思います。でも、すぐにルヴァンカップがありますし、今日はゴールはセットプレーからだけだったので、コンビネーションの部分は練習から出していきたい」

 反省ばかりだが、負けなかったのはまだまだ運が向いている証拠。特効薬はない。愚直に繰り返していくだけだ。安部のプレースタイルのように。

取材◎平澤大輔 写真◎小山真司