1月25日、アルビレックス新潟はMF本間至恩が契約更新に合意したことを発表した。本間は一部報道などで移籍が秒読みとされていたが、最終的にアカデミーから育った地元のクラブで2021年を戦うことを決断した。

上写真=新潟で攻守に渡って成長を遂げた本間至恩が契約を延長した(写真◎Getty Images)

「たくさんの方々にご心配をおかけし、本当に申し訳ありませんでした」

「新潟の至宝」と呼ばれる本間至恩が、地元のクラブで2021年シーズンを戦うことを決断した。1月25日、アルビレックス新潟が正式に発表した。

 一部報道ではJ1に昇格した徳島ヴォルティスに移籍が秒読みとされるなどで、すでに行われた新潟の新体制発表記者会見では本間の名前が選手リストには記載されておらず、新天地を求めて故郷を去ると考えられる中での「残留」決定だった。

 2000年8月9日生まれ、20歳の本間は新潟のアカデミー育ちで、身長164センチと小柄ながら、切れ味鋭いステップワークと一瞬のスピードで相手を置き去りにするドリブルが自慢のアタッカーだ。新潟U-18時代の17年にJリーグYBCルヴァンカップでトップデビュー、18年にはJ2リーグでも初出場し、19年のJ2で交代出場で出番を増やして、20年には主力に成長と順調にステップアップしてきた。

 その20年はスペイン人のアルベルト監督の下で、ドリブル突破の威力アップに加え、サイドだけではなくピッチ中央でのプレーを要求されて徐々に体得、守備の強度も高めて、得意のドリブルだけではなく、幅広いプレースタイルを選択する能力を高めていった。その結果がいずれもキャリアハイとなる、40試合、2837分出場で7得点7アシストだった。

 そして、この数字だけでは計れないほど、ボールテクニックとセンスで魅了し続けた。カットインからのシュート、ミドルシュート、意表を突くパス、即時奪回を可能にするスプリントなど多彩なアクションを披露して、プレーヤーとして一つ階段を上がったシーズンだった。

 昨季の新潟の攻撃陣では、鄭大世がFC町田ゼルビアへ移り、期限付き移籍していた中島元彦がセレッソ大阪に復帰するなど、離脱が続いていただけに、本間の残留は「最大の補強」とも言えそうだ。

「今シーズンもアルビレックス新潟で戦うことを決断いたしました。この決断に至るまで、たくさんの方々にご心配をおかけし、本当に申し訳ありませんでした。
 プロサッカー選手として、より高い目標を持ち、自分の力を試したいと常に考えています。その中で、今回オファーをいただいたこと、また、初めてオファーをいただいて悩んだことも正直に伝えます。
 別の環境に身を置くのか、それとも生まれ育った地元のクラブでもっと力をつけるべきなのか、長い時間をかけて自問自答しました。いろいろな想いが寄せては返すうちに、温かい声援を送り続けてくださる新潟サポーターの皆さんの存在を大きく感じていることに改めて気付きました。
 そして今、新潟の選手として、一瞬も気を緩めずに戦おうと決意しています。チームの目標達成のために自分が持っている力をすべて注ぎ、プレーで貢献します。これまで以上にサッカーと向き合って、成長していきます。今年こそJ1に行きましょう!」

 他クラブからのオファーがあったこと、真剣に悩んだこと、その長い自問自答の末に契約を延長したことが明かされた。それだけの覚悟を持って決めた新潟での2021年。背番号「10」は変わらず、さらに進化した姿を見せるだろう。