全国高校サッカー選手権2020の準決勝が1月9日に行われ、第1試合では山梨学院(山梨)が帝京長岡(新潟)をPK戦の末に下した。帝京長岡の前に立ちはだかったのはキャプテンでGKの熊倉匠。PKを2本止めて決勝進出に導いた。
上写真=山梨学院を支える熊倉匠。キャプテンで守護神という頼もしい存在(写真◎小山真司)
■2021年1月9日 全国高校サッカー選手権準決勝(@埼玉スタジアム)
山梨学院 2-2(PK3-1)帝京長岡
得点者=(山)石川隼大、一瀬大寿
(帝)川上航立2
「チャレンジャー精神で戦いたい」
2点をリードしながら、今大会初めての複数失点で同点に追いつかれ、PK戦で辛くも勝利。長谷川大監督が「なんとか勝たせてもらいました」と息をついた試合で、立役者になったのがキャプテンにして守護神の熊倉匠である。
「今日勝てて、次につながって良かったです。内容としては早い段階で点を取って優位に進められましたが、守備の集中が切れて2失点して引き分けてPK戦というのは直していかなければいけないので、反省が見えたゲームでした」
大人びた落ち着きをピッチの中でも外でも見せる。決勝進出に浮かれることはない。
PK戦では山梨学院が先行で、つまりGKの熊倉の出番は後。1本目で右に飛んできっちりはじき出すと。4本目は左へと読んでセーブした。3本目も決められたものの、しっかり反応してボールには触っており、得意だというPK戦で存在感を発揮した。
「今日は自分は正直、何もやっていなくて、チームに貢献したいという思いで(PK戦に)臨みました。PK戦は得意なので、止めてやろうという気持ちでやって、何本か止めたので良かったなと」
11年ぶりの決勝戦は、青森山田が相手だ。日本一を手にした第88回大会と同じ相手とは因縁だろう。ただそれは、昔の話。熊倉は気を引き締める。
「青森山田は伝統があって強豪校であることは間違いないので、自分たちを信じてチャレンジャー精神で戦いたいと思います」
青森山田は準決勝で5ゴールを決めて圧勝している。ハットトリックを達成した安斎颯馬はFC東京U-15深川でチームメートだった。「今日は2失点しましたが、大会を通して失点が少ないのが、自分たちが成長した部分」と胸を張るその堅守で、堂々と立ち向かうつもりだ。