12月31日、第99回全国高校サッカー選手権が開幕した。東京・駒沢陸上競技場で全国高校サッカー選手権2020の1回戦、東海学園(愛知)対明徳義塾(高知)が行なわれた。終盤でスコアが動かない展開の中で、終了間際に2点を挙げたのが、明徳義塾の高良泰生だった。

上写真=69分にピッチに入り、76分に先制点を挙げた高良泰生(写真◎福地和男)

2020年12月31日 第99回全国高校サッカー選手権大会(@駒沢陸上競技場)
明徳義塾 2-0 東海学園
得点者:(明)高良泰生(76分)、持田憲伸(78分)

チームに勢いと勝利をもたらす

 両チーム、GKを中心にしたディフェンスで我慢の時間が続く。PK戦が視野に入ってきた76分、明徳義塾(高知)の途中出場選手がロングスローによる混戦からゴールをこじ開けた。明徳義塾は2分後に加点し、球際の攻防が続いた東海学園(愛知)との激しいバトルを2-0で制した。

 殊勲者は2人目の交代選手として69分に入った高良泰生だ。

「高良にはセカンドボールの回収とロングスローを期待した。セットプレーから点を狙おうと思った」と言う小松晃監督の狙いを体現すべくピッチに入った。

 チームがセカンドボールを奪って押し込めるようになると、マイボールのスローイン時に高良が特長を発揮した。右サイドの低い位置からロングスローを2度。いずれも相手に対応されたが、76分に今度は左サイドから3度目のロングスロー。投じた直後に高良自身は猛然とペナルティーエリアに向かった。

 そこへ流れの中でちょうどボールが跳ね返ってきた。今度はヘディングでゴール前へとボールを送る。さらに混戦になってこぼれたボールに対し、走り込んでボレーでとらえる。待望の先制ゴールが生まれた。

「(監督やスタッフから)ロングスローのあとの次のポジションを意識しようと言われていた」と高良。まさしく狙い通りのゴールだった。

 高良にとっては、3年生になって初めて立った全国のピッチだった。それでも、「みんなが伸び伸びプレーしているのを見て、自分もしっかりしなければいけないと思い、良い状態でピッチに入れた」。

 高知県勢、そして明徳義塾として5大会ぶりとなる初戦突破だが、課題もしっかり理解する。「できたプレーとできていないプレーがあった」とはキャプテンの松下総龍の言葉。「できたプレー」とはセットプレーを得点に結びつけたこと。「できなかったプレー」とは相手を崩した形での流れの中から得点だ。次の相手は帝京大可児(岐阜)だ。

「前半から出ている選手たちがハードワークしてくれている。後半から入る僕たちがさらにスピードアップすることを心がけてきた」と高良は話した。できなかったプレーの改善にチームとして取り組み、2回戦に臨む。

取材・文◎髙野直樹(サッカークリニック編集長)