ホーム3連勝を狙う京都サンガ。J2第6節の相手は愛媛FCだ。實好礼忠監督の分析ではまるで褒め殺しのように素晴らしいところを挙げていくのだった。それに対抗するために、自分のチームも褒めていく。独自のスタイルで勝利を目指す。

上写真=選手への指示も、感染拡大防止策も完璧な實好監督(写真◎KYOTO.P.S.)

もともと質の高いチームだから

 2勝2分け1敗の5位で迎えるJ2第6節。京都サンガは愛媛FCとのホームゲームだ。2勝3敗で借金1、13位の愛媛だが、實好礼忠監督はとにかくその素晴らしさを褒めるのだ。

「愛媛はシステムも変えてきますし、90分の中で選手の立ち位置も変わって複雑に動くので、なかなかつかみどころがないですね」

「スローなテンポで試合を進めることもできるし、前節は少しダーティーなところも見せて、いろいろな顔を持っていると思います」

「セットプレーでも点を取っていますし、スピーディーな選手もテクニックのある選手もいます。きれいな形でも取れますし、ビルドアップもしますし、いろいろなところに注意しながらやっていきたいです」

 警戒心の表れなのか、メディアを介した情報戦なのか。爽やかに語る口調からはとても挑発には感じられないが、人柄なのか、とにかく愛媛のいいところを列挙していく。

 そんな素敵すぎる愛媛を相手に、京都はこう戦う。

「うちはベーシックなところを大事にしてやっていこうと思っています」

 それは前節のギラヴァンツ北九州戦の反省が基になっている。かなりのプレッシャーをかけられた上での0-0ドロー。「つなげられるところはつなぎたい、というぐらいの感じはあるんですけど、プレッシャーがすごく高くて、そこをみんなが理解して戦えたのは大きくて、メリハリのところ、速攻と遅攻の切り替えのところはもう少しうまくできるかなと思います」

 金久保順が「遅効の質を上げたい」と挙げた課題についても前向きで、「フィードバックとしてチームで共有したんですが、僕自身が選手にアグレッシブなプレーを要求しています。遅効の質を上げるというか、もともと高いチームでもあるので、そこを出せるように(攻撃を)やり直すとか、遊び心を持って、とか、もう少し相手の幅を広げよう、という話をしました」

 褒めるのは相手だけではなかった。自分たちも褒めて、伸ばすスタイル。

 では、愛媛の狙いどころは?「相手を広げてコンビネーションを使って、(最終ラインの)手前も使いたいし裏も使いたいということをやっているので、そこをうまく出せればいいなと思っています」

 今年オープンしたサンガスタジアムを、實好監督は「パワースポットだ」と表現したことがあるのだという。今季ホームで2連勝中。なるほど、そうかもしれない。

「選手がみんないいイメージを持っているので、そのイメージのまま入りたいですね。制限はありますが、サポーターの皆さんとともに勝ち点3を取っていきたいです」

 實好監督はきっと、試合後も両チームを褒めることだろう。でももちろん、ホーム3連勝を飾って、自分のチームの方をたくさん褒めるつもりだ。