日本サッカー協会は3日、オンラインで会見を開き、2021年9月にスタートする女子プロリーグの概要を発表した。新リーグの名称は「.WE League(ウィーリーグ)」に決定。秋春制を採用し、参入チーム(6~10チーム)は今秋に決定する。

上写真=さまざまな思いが込められた新リーグのロゴ(写真◎JFA)

最初は6~10チームで秋春制を導入

 日本に新たなプロサッカーリーグが誕生する。2021年の秋に、日本で初めて女子プロサッカーリーグがスタートする。名称は、「.WE League(ウィーリーグ)」に決まった。

 これは『Women Empowerment(女性の力)」の頭文字を取ったWEという意味のほか、「女子が『サッカー選手』を夢みることができる未来。サッカーを超えて、女性活躍社会の象徴となる未来。リーグの描く未来をさまざまな人々と協力・共創する意志。リーグに関わる『WE(わたしたち)』みんなが主人公であるという意志」という思いが込められている。リーグロゴの「WE」の前ににある「.(ドット)」はボール、日の丸、そしてさまざまな人や団体や企業と連携することを目指し、なじむ・つながるということをイメージしている。

 田嶋幸三会長は、「2021年秋に開幕する日本初の女子プロサッカーリーグは、日本の女子サッカーを発展させることだけが目的ではありません。女子プロリーグを核にして様々な雇用を生み出したり、人々の生き方の選択肢を広げたりすることによって、さらなる女性の社会進出や持続可能な社会の実現に貢献していくことも目指しています。スポーツを通して社会に貢献していくことは、スポーツ界にとって重要な使命です。少女たちの夢となる女子プロサッカー選手という職業を確立していく同時に、女性活躍社会の推進や社会が抱える課題解決にも取り組んでまいります」と設立への思いを語った。

 また佐々木則夫女子新リーグ設立準備室長は、自身が監督として率いて優勝した2011年女子W杯以降の歩みと、現在のなでしこリーグなどの状況を踏まえて、「今、なぜこんなに(女子サッカーの)人気が無くなってしまったのか。協会の理事となって会長といろいろと話をし、プロ化への準備を進めてきた」と、新リーグ設立で普及と発展を目指したいと説明した。

 WEリーグは現在のなでしこリーグの上位に位置するリーグであり、最初は6~10チームで2021年9月にスタートする予定。今井純子女子委員長は「主要大会がヨーロッパのカレンダーに合わせて設定されていることを鑑み、ヨーロッパと同様の秋春制を採用することで海外のクラブとの行き来や代表強化をスムーズにする」と、秋春制導入の狙いを説明している。また、スタートから数年は降格を行なわず、その間に参入を希望クラブがあった場合は適切な審査して、チーム数を広げていくという。

 佐々木室長によれば、当初は平均5000人を目指し、10年構想の中では1万人を目指す計画を立てたいとのこと。現状、なでしこリーグのチームは都市部に多いが、普及の観点から全国にチームが存在し、子どもたちの目標になる環境を整えていきたいとした。

 東京オリンピックが来年夏に延期されたことで、五輪終了直後にWEリーグが開催されるスケジュールになる。すなわち、なでしこジャパン(日本女子代表)の成績がリーグの活況に影響を及ぼすことも考えられる状況となった。会見に出席した高倉麻子日本女子代表監督はその点について「代表と国のリーグは、両輪だと思っていますし、リーグのレベルの高い国というのはおのずと代表のも強いという構図があります。今回は、オリンピックが先にあり、リーグ開幕ということになりますけど、必要以上にプレッシャーに感じることなく、これまでやってきたこと信じて積み上げ、思い切ってそれを出せば、結果がついてくるというのは選手もスタッフも信じていますので、力強く進んでいければと思っています」と力を込めた。

 今月中には、日本が立候補している2023年の女子ワールドカップの開催地も決まる。東京五輪、WEリーグ開幕、そして決まれば、女子W杯開催――。日本の女子サッカーは今、大きく発展できるフェーズに入った。