歴史を学ぶ『日本サッカー温故知新』の第23回。この連載では日本サッカーが大きく発展した『平成の30年間』を写真と記録で振り返る。平成23年(2011年度)は希望の灯になり得るサッカーという競技の力を、多くの国民が感じる年になった。

FIFA主催の世界大会で優勝!

 1月にはザック・ジャパンが激闘につぐ激闘の末に決勝へ進出し、オーストラリアを破ってアジアカップで4度目の優勝を果たした。決勝で勝利を決めた李忠成のボレーは、今も語り草だ。前年に就任したザッケローニ監督の手腕と海外組が増えたチームの地力を示すとともに、2014年のワールドカップ出場への期待を大いに高める結果だった。

 夏には、そのアジアカップ優勝に勝るとも劣らない感動が、日本中を包んだ。日本女子代表(なでしこジャパン)が、ドイツで開催された女子ワールドカップで強豪を次々と破り、見事優勝を果たしたのだ。ファイナルに至る過程でも、ドイツ戦やスウェーデン戦など劇的な勝利を収めていたが、とりわけ世界ランク1位のアメリカとの決勝戦は歴史に残る激闘となった。

 アメリカにリードを許しながら、澤穂希が延長後半に起死回生の同点ゴールを奪い、PK戦に突入。PK戦を3-1で制し、優勝を飾った。FIFA主催の世界大会での優勝は、日本サッカー界にとって、大きな意味を持つものだった。また、キャプテンであり、優勝の原動力となった澤穂希は大会得点王とMVPを受賞している。さらに大会後、なでしこジャパンは、チーム(団体)として初めて国民栄誉賞を受賞した。

◆平成23年度の主なタイトル一覧
Jリーグ:柏レイソル
天皇杯:FC東京(第91回・11年度)
Jリーグ杯:鹿島アントラーズ
JリーグMVP:レアンドロ・ドミンゲス(柏)
Jリーグ得点王:ケネディ(名古屋)
Jリーグ新人王:酒井宏樹(柏)
Jリーグ最優秀監督賞:ネルシーニョ(柏)
高校選手権:市立船橋高(第90回・11年度)
高円宮杯U-18:広島ユース
大学選手権:専修大
なでしこリーグ:INAC神戸レオネッサ

日本代表が4度目のアジアカップ優勝を成し遂げた(写真◎Getty IMAGES)

延長になったオーストラリアとの決勝は、李忠成のボレーが決勝点になった(写真◎Getty Images)

なでしこジャパンが、女子ワールドカップ優勝という偉業を成し遂げた(写真◎Getty Images)

延長前半で突き放されたが、延長後半の117分にキャプテン澤の得点でアメリカに追いつき、PK戦も制す。女子W杯決勝は劇的な展開となった(写真◎Getty Images)

なでしこジャパンの帰国会見には、多くの報道陣が駆けつけた。東日本大震災の被災地に勇気を届けたチームは、団体として初めて国民栄誉賞を受賞(写真◎Getty Images)

Jリーグ順位表(2011シーズン)
順位チーム
17234233823
2名古屋7134218531
3G大阪7034217627
4仙台56341414614
5横浜FM5634168106
6鹿島503413111013
7広島5034148123
8磐田4734138138
9神戸463413714-1
10清水4534111211-9
11川崎F443413516-1
12C大阪433411101314
13大宮4234101212-10
14新潟393410915-8
15浦和363481214-7
16甲府33349619-21
17福岡22346424-41
18山形21345623-41