歴史を学ぶ『日本サッカー温故知新』の第20回。この連載では日本サッカーが大きく発展した『平成の30年間』を写真と記録で振り返る。平成20年(2008年度)はガンバ大阪がACL優勝を果たし、鹿島アントラーズがJ連覇を達成した。

千葉が奇跡の残留、大分がJ杯初優勝

 国内では、J1リーグを鹿島アントラーズが制し、連覇を達成。最終節を前に、首位鹿島(勝ち点60)、2位名古屋グランパス(58)、3位川崎フロンターレ(57)と3チームに優勝の可能性が残されていたが、名古屋は大分トリニータに引き分け、川崎Fは東京ヴェルディに勝利したものの、鹿島も札幌にきっちり勝利し、鹿島がシャーレを手にした。

 この年は残留争いも劇的だった。最終節の結果いかんで、大宮アルディージャ、アルビレックス新潟、ジュビロ磐田、東京ヴェルディ、ジェフユナイテッド千葉に入れ替え戦に回る(16位になる)可能性があり、磐田、東京V、千葉に自動降格(17位)の可能性があった(18位はコンサドーレ札幌に決定していた)。

 34節は90分という試合時間の中で状況が目まぐるしく変わった。中でも千葉は、後半早々に0-2とFC東京にリードされる苦しい展開。絶体絶命のピンチを迎えたが、そこから奇跡を起こす。74分、77分、80分とおよそ7分間で3点を叩き込み3-2と逆転。さらに85分にダメ押し点を奪い、残留を成し遂げた。

 結果、16位が大宮に敗れた磐田、17位が川崎Fに敗れた東京Vとなった。なお、磐田はJ2・3位のベガルタ仙台と入れ替え戦を戦い、初戦を1-1で引き分けたものの、ホームの第2戦は松浦拓弥の2発で2-1と勝利を飾り、J1残留を決めている。

 また、Jリーグカップは、大分が清水エスパルスを下し初優勝。シャムスカ監督の下、攻守にバランスの取れた戦いぶりで勝利を重ね、クラブ初タイトルを獲得した。大会MVPは決勝で先制点を挙げた高松大樹が手にしている。

◆平成20年度の主なタイトル一覧
Jリーグ:鹿島アントラーズ
天皇杯:ガンバ大阪(第88回・08年度)
Jリーグ杯:大分トリニータ
JリーグMVP:マルキーニョス(鹿島)
Jリーグ得点王:マルキーニョス(鹿島)
Jリーグ新人王:小川佳純(名古屋)
Jリーグ最優秀監督賞:オズワルド・オリヴェイラ(鹿島)
高校選手権:広島皆実高(第87回・08年度)
高円宮杯U-18:浦和ユース
大学選手権:中央大
なでしこリーグ:日テレ・ベレーザ

地力を見せつけて鹿島がJ1連覇を達成した(写真◎J.LEAGUE)

オリヴェイラ監督(右)と選手たちの「調和」も鹿島の強さの要因だった(写真◎J.LEAGUE)

この年のJ1最終節がいくつものドラマがあった。残り20分まで降格濃厚だった千葉の大逆転劇は語り草だ。千葉の巻誠一郎とFC東京の長友佑都(写真◎J.LEAGUE)

松浦拓弥の2得点で磐田は仙台との入れ替え戦に勝利し、J1残留を決めた(写真◎J.LEAGUE)

Jリーグカップを制したのは大分。クラブとって初タイトルだった(写真◎J.LEAGUE)

JリーグカップMVPは決勝でも得点した大分の高松大樹が受賞した(写真◎J.LEAGUE)

Jリーグ順位表(2008シーズン)
順位チーム
1鹿島6334189726
2川崎F60341861023
3名古屋5934178913
4大分5634168109
5清水5534167118
6FC東京5534167114
7浦和5334158118
8G大阪503414812-3
9横浜FM48341391211
10神戸47341211111
114634137143
12大宮433412715-9
13新潟423411914-14
14京都413411815-9
15千葉383410816-17
16磐田373410717-8
17東京V373410717-12
18札幌18344624-34