歴史を学ぶ『日本サッカー温故知新』の第18回。この連載では日本サッカーが大きく発展した『平成の30年間』を写真と記録で振り返る。平成18年(2006年度)は日本代表がドイツW杯で未勝利に終わり、国内では浦和レッズが悲願のリーグ制覇を達成した。

上写真=ドイツW杯のブラジル戦後、しばらくピッチに仰向けになった中田英寿。これが現役最後の試合となった(写真◎Getty Images)

中田英寿が電撃引退

 1998年(平成10年)の初出場、2002年(平成14年)の地元開催と続き、3度目となるワールドカップに臨む日本には、過去最高の期待が寄せられていたと言っても過言ではない。79年生まれの黄金世代を中心に、海外リーグで活躍するタレントがそろっていたからだ。
 だが、大会前から中村俊輔が体調不良に陥るなどチーム状態は上がらず、初戦のオーストラリア戦は中村俊輔が先制したものの、1-3で逆転負け。第2戦のクロアチア戦は0-0で引き分けたが、3戦目のブラジル戦ではまたしても玉田圭司の一発で先制しながら1-4で逆転負けを喫し、大会前の大きな期待を裏切り、ジーコジャパンは1勝もできずに大会を去った。

ブラジル戦の試合終了後に、ピッチの上で仰向けに倒れ込んだ中田英寿はその11日後、29歳にして現役引退を発表。90年代後半から日本サッカーをけん引し、アジアを代表するトッププレーヤーとなった男の早すぎる決断に日本のみならず、世界が驚いた。

 惨敗という結果を受けた日本は、90年ワールドカップでユーゴスゴラビアをベスト8に導いた経験を持ち、ジェフユナイテッド千葉で手腕を発揮していたイビチャ・オシムを監督に招へい。南アフリカ大会に向けて「日本サッカーの日本化」を掲げ、新たなスタートを切ることになった。

■平成18年度の主な出来事(2006年シーズン)

・1月13日 小野伸二がフェイエノールト(オランダ)から浦和に復帰
・2月25日 ゼロックス杯で浦和が初優勝
・3月2日 柳沢敦がメッシーナ(イタリア)から鹿島に復帰
・3月4日 Jリーグ開幕
・4月5日 中村俊輔所属のセルティック(スコットランド)がリーグ優勝
・5月15日 ドイツW杯に臨む日本代表メンバー23人を発表。久保竜彦が外れ、巻誠一郎がサプライズ選出
・5月23日 Jリーグチェアマンに鬼武健二氏が就任
・6月22日 ドイツW杯で日本はブラジルに敗れ、グループステージ敗退
・6月26日 ジーコ監督の退任会見を開く
・7月3日 中田英寿が現役引退を表明
・7月15日 オールスター開催。中澤佑二がDFとして初のMVP
・7月21日 日本代表新監督にイビチャ・オシム氏が正式就任
・7月23日 森本貴幸がカターニャ(イタリア)へ移籍
・8月2日 A3チャンピオンズカップ開幕。日本からはG大阪と千葉が出場
・8月8日 インターハイは広島観音高が初優勝
・8月9日 オシムジャパン初戦、トリニダード・トバゴ戦は2-0で勝利
・8月28日 小笠原満男がメッシーナ(イタリア)へ移籍
・10月9日 高円宮杯(U-18)で滝川二高が初優勝
・11月3日 ナビスコ杯は千葉が2年連続2度目の優勝
・11月4日 なでしこリーグ1部はベレーザが優勝
・11月12日 アジアユース選手権で日本は準優勝し、U-20W杯への出場権を獲得
・12月2日 浦和がJ1初優勝
・12月9日 J1・J2入れ替え戦、神戸が福岡からアウェーゴールを奪ってJ1昇格
・12月21日 宮本恒靖、三都主アレサンドロがザルツブルク(オーストリア)へ移籍
・07年1月1日 天皇杯は浦和が優勝し、連覇を達成(第86回・06年度)
・07年1月1日 全日本女子選手権は田崎が3年ぶりに優勝(第28回・06年度)
・07年1月8日 高校選手権は盛岡商高が初優勝(第85回・06年度)
・07年1月14日 大学選手権で駒澤大が3連覇(第55回・06年度)

ドイツW杯の初戦、オーストラリア戦は中村俊輔の得点で先制したが、逆転負けを喫した(写真◎Getty Images)

グループステージ第3戦のブラジル戦は玉田圭司の得点で先制したが、またしても逆転負けしてしまった(写真◎Getty Images)

史上最強と謳われたジーコジャパンだったが、グループステージで敗退することになった(写真◎Getty Images)

南アフリカW杯を目指す日本代表の監督にはイビチャ・オシム氏が就任した(写真◎Getty Images)