歴史を学ぶ『日本サッカー温故知新』の第17回。この連載では日本サッカーが大きく発展した『平成の30年間』を写真と記録で振り返る。平成17年(2005年度)はガンバ大阪がJ1初制覇を成し遂げ、日本が世界最速でドイツW杯出場を決めた。

上写真=最終節までもつれにもつれたJ1で最後に笑ったのはガンバ大阪だった(写真◎J.LEAGUE)

Jリーグ杯はジェフ、天皇杯はレッズが初戴冠

 日本サッカー殿堂の第1回掲額者が決まったこの年は、記録ラッシュとなった。5月には、ジュビロ磐田の中山雅史が史上初のJ1通算150得点を達成し、ガンバ大阪の前田雅文は記念すべきJリーグ通算1万ゴール目を記録した。

 通年制となったJ1リーグでは、新たな王者が誕生。攻撃サッカーを標ぼうするガンバ大阪だ。リーグの展開は、最終節を前に首位のセレッソ大阪から勝ち点2差に5チームがひしめく大混戦(2位G大阪、3位浦和レッズ、4位鹿島アントラーズ、5位ジェフユナイテッド千葉)。最後はC大阪がFC東京と引き分け、アウェーながら川崎フロンターレに4得点で勝利したG大阪が逆転優勝。他チームを大きく引き離す34試合82得点の攻撃力がで王者の座についた。

 J2は京都パープルサンガが優勝、アビスパ福岡が2位でJ1昇格を決めた。福岡は前年に柏レイソルとの入れ替え戦に敗れ、涙をのんだ悔しさを晴らした。また、J2・3位のヴァンフォーレ甲府は2年連続で入れ替え戦に回った柏を下し、昇格を決めている。第2戦は6-2で柏を破ったが、バレーが6得点すべてをマークしており、長らくJリーグ公式戦における1試合個人最多得点だった。ちなみに、その記録が塗り替えられるのは14年後のこと。ほかならぬ柏のFW、マイケル・オルンガによる8得点だった(令和元年11月24日の京都戦)。

 リーグタイトルは逃したものの、千葉はイビチャ・オシム監督の下でJリーグカップで初優勝を果たす。クラブにとっての初タイトルでもあった。ちなみに決勝で、PK戦の末に下した相手はG大阪だった。

 国内三大タイトルものもう一つ、天皇杯は浦和レッズが初優勝。清水を2-1で下し、リーグタイトルをあと一歩で逃した悔しさを払拭し、カップを掲げた。

■平成17年度の主な出来事(2005年シーズン)

・2月26日 ゼロックス杯で東京Vが10年ぶりに優勝
・3月5日 J1が18チームによる通年1ステージ制で開幕
・3月10日 日本サッカー殿堂の第1回掲額者に釜本邦茂氏ら20人を選出
・5月1日 中山雅史(磐田)がJ1通算150得点達成
・5月8日 前田雅文(G大阪)がJリーグ通算1万ゴール目を決める
・6月8日 日本が無観客試合となった北朝鮮戦で2-0の勝利。3大会連続のW杯出場が決定する
・6月22日 コンフェデレーションズ杯で日本はブラジルに引き分けるもグループステージ敗退
・6月21日 U-20日本代表がワールドユース(オランダ大会)でモロッコに敗れ、ベスト16で敗退
・7月19日 カズが神戸から横浜FCへ移籍
・7月28日 中村俊輔がセルティック(スコットランド)に移籍
・8月7日 東アジア選手権で男子は1勝1分け1敗の2位。女子は3位に終わる
・8月18日 中田英寿がボルトン(イングランド)へ移籍
・10月9日 オールスター開催。J-WESTが勝利
・10月10日 高円宮杯(U-18)決勝で東京Vユースが札幌U-18を下す
・10月30日 Lリーグ1部はベレーザが8回目の優勝
・11月5日 ナビスコ杯で千葉が初優勝
・11月13日 カズが横浜FCからシドニーFC(オーストラリア)に期限付き移籍、クラブW杯出場へ
・12月3日 最終節までに5チームが優勝の可能性を残すという大混戦のJ1をG大阪が制し、悲願のリーグ初制覇
・12月9日 ドイツW杯の組分け決定。日本はオーストラリア、クロアチア、ブラジルと同じF組に
・12月10日 J1・J2入れ替え戦で甲府が柏に6-2で圧勝し、J1初昇格を決める
・12月18日 日本で開催されたクラブW杯で、サンパウロ(ブラジル)が決勝でリバプール(イングランド)を下して優勝
・12月25日 大黒将志のグルノーブル(フランス)移籍が決定
・05年1月1日 天皇杯は浦和が初優勝(第85回・05年度)
・05年1月1日 全日本女子選手権はベレーザが連覇(第27回・05年度)
・05年1月9日 高校選手権は野洲高が初優勝(第84回・05年度)
・05年1月15日 大学選手権で駒澤大が2年連続5回目の優勝(第54回・05年度)

J1最終節の川崎F戦でチーム2点目を挙げた宮本を仲間が祝福する(写真◎J.LEAGUE)

優勝のかかった川崎F戦で2得点と大活躍したアラウージョ。この年のMVPと得点王を受賞した(写真◎J.LEAGUE)

G大阪を初優勝に導いた西野朗監督は歓喜の胴上げを味わった(写真◎J.LEAGUE)

Jリーグカップを制したのは千葉。クラブ初タイトルを手にした(写真◎J.LEAGUE)

延長戦に入る前、選手たちに指示を送る千葉のオシム監督。名将の下でチームが大きく成長した(写真◎J.LEAGUE)

浦和レッズとしては初めての天皇杯優勝。清水を下して栄誉に浴した(写真◎Getty Images)