3月29日、日本サッカー協会(JFA)は評議員会と2020年度第5回理事会をWEB上で開催した。また、会議後のブリーフィングを経て、17日に新型コロナウイルス感染を公表していた田嶋幸三会長が理事会にWEBで参加し、現状も報告した。

上写真=29日に開かれた理事会にWEBで参加した田嶋会長(写真◎Getty Images)

一致団結してこの困難を乗り越えていく

 3月17日に新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たことを公表していたJFAの田嶋会長が29日、WEBで評議員会及び理事会に参加した。

 理事会後のWEBブリーフィングに出席した須原清貴専務理事によれば、田嶋会長は「今年度、新型コロナウイルスサッカー全体が影響するのは間違いない。色々な対応が必要になる」と話し、協会への登録料と各種大会などからの協会納付金について言及。詳細に関してはこれから詰めていくことになるものの、「各種大会などからの協会納付金については今年度はいただかない方向」で検討する意向だという。また、「選手、審判員、指導者の登録料に関しても免除をすることで現場に対してJFAから間接的な支援ができないか」との考えも示した。

 実際、3月の代表戦が無くなるなど、JFAとしても減収は間違いないところだが、統括団体として各連盟やクラブ、選手、審判員などをサポートしていく考えで、WEBブリーフィング後に発表した声明の中でも、田嶋会長はあらためてこの件について触れ、難局に立ち向かう姿勢を強調した。

「本日の評議員会で理事に選任され、その後の新理事による理事会において2年間の会長職を任命されました。新型コロナウイルスによって世界が大きな影響を受けている時期に会長職を務めることについて、今まで以上に責任の重大さを感じています。このような時こそ日本サッカー界、そしてスポーツ界が一つになり、一致団結してこの困難を乗り越えていく必要があります。

 日本、そして世界が1日も早く日常を取り戻せるようになってほしいと願っています。また、サッカー界としても、この事によって発生するであろう様々な問題、財政的な問題に対しても、日本サッカー協会(JFA)も覚悟を持って向き合っていきます。例えば、登録料の免除、協会納付金(プロアマ問わず入場料収入の3%)の最低1年間の凍結など、素早い判断ができるように今後の理事会での決定に向けてしっかりと準備を進めてまいります。

 別の見方をすれば、このような状況はJFA、9地域サッカー協会、47都道府県サッカー協会、各種連盟、リーグなどの業務を改善したり、見直したりしていくチャンスであるとも考えています。全員で協力してあらゆることに取り組んでいくことで、直面している大きな困難を乗り越えていけると確信しています。これまでの判断基準とは異なる決定をしなければならない場合でも、理事会の協力を得ながら迅速に対応できるよう体制を整えてまいります。

 世界が平和で、安全で、そして人々が健康であるからこそ、サッカーやスポーツが成り立つことを痛感しています。世界各国が平和で安全な環境を取り戻すために、日本サッカー界も全力で取り組み、それに貢献していきたいと思います。

 感染拡大の収束に向けて若い世代の皆さんの協力は不可欠です。若い世代を含め、多くの世代に影響力のあるサッカー界からも、感染拡大防止のための活動をしてまいります。全国の現場では、医師、看護師、スタッフの皆さんがこの危機と戦ってくださっています。日本が医療崩壊に陥らないよう、協力していきましょう。

 すでにヨーロッパの選手たちから、多くのメッセージが届いています。そこでは、イタリアやスペインの厳しい状況が生々しく語られています。若い世代の皆様には、この大事な時期に、外出したい気持ち、サッカーしたい気持ち、身体を動かしたい気持ちを抑え、ここは我慢して、新コロナウイルスという目に見えない敵と戦っていきましょう。スポーツ界の一員としてあらゆる協力を惜しみません。

 この2年間はとても重要な決断を迫られる時だと思います。勇気をもって実行していくために、理事や評議員の皆さん、ファン・サポーター、ご支援いただいている企業、自治体、団体の皆さんと一緒になって取り組んでいきたいと思います]

 なお、須原専務理事の説明では、田嶋会長は現在、治療を適切に行ない、順調に回復中とのこと。リモートで業務を行なえており、意思決定の面でも問題はないという。