JFL昇格2年目の松江シティFCが、格上相手の練習試合で収穫と課題を手にした。3月21日にJ3のFC今治と対戦し、45分×3本で2-2の引き分け。就任1年目の実信憲明監督は手応えをつかみつつ、より上のレベルを見据える。

上写真=ハーフタイムに作戦ボードを使って指示を送る実信監督(写真◎石倉利英)

コーチを経て監督就任1年目

 45分×3本で行なわれたFC今治と松江シティFCの練習試合は、松江が1本目の40分にオウンゴールで先制したものの、2本目の30分に追い付かれて90分間では引き分け。松江は3本目でも25分にFW西村光司が先に得点したが、40分に追い付かれ、トータル2-2の引き分けに終わっている。
 
 松江の指揮を執るのは就任1年目の実信憲明監督。2003年にガイナーレ鳥取の前身、SC鳥取に加入し、JFLからJ2への昇格に貢献するなど13年までプレーした。14年に当時中国リーグの松江に移籍し、16年からは田中孝司監督の下、2年間コーチ兼任でプレーを続けたのちに現役を引退。18年からコーチ専任となり、田中監督の退任に伴って今季、監督に就任した。

 実信監督は試合後、「質の高い相手とトレーニングマッチができて、非常に良い経験ができたし、今季取り組んでいるものを出せた」とコメント。さらに「去年JFLを戦い、最後の局面での勝負強さをつけるためには、ハードワークしなければいけないと再確認した」とした上で、2得点がいずれもカウンターから奪ったものであることを踏まえ、「田中監督の時代から、ボールをしっかり握って主導権を握ることに加え、奪った後のカウンターを意識してきた」と、狙い通りの得点に納得の表情だった。

 松江はJFL昇格1年目の昨季、最終節まで残留争いを強いられたが、16チーム中15位でかろうじて残留を果たした。今季は残留争いの回避に加え、将来的なJリーグ昇格への希望がふくらむような結果と内容が求められる。「今季の目標は10位以内」と語る実信監督は、「10位以内を見据えながら、JFLでしっかり地位を築いていきたい」と意気込む。
 
 まだ開幕していなかったJFLは新型コロナウイルスの影響で、3月28日と29日の第3節までの延期が決まっている。「開幕しないので難しいですが、選手と話してコミュニケーションを取りながらやれている」という実信監督は、初挑戦の監督業に向けて「今後リーグが始まって、試合に勝った、負けた、という状況になったときにどうやって、より良いチームにするか、立て直していくか。不安もありますが、楽しみな気持ちの方が大きい」と語り、決意を新たにしていた。

文◎石倉利英 写真◎石倉利英